倉橋隆行のプロに学ぶアッと驚く不動産投資

実務経験豊富な不動産コンサルタントがプロだけが知っているノウハウをお教えします!

相続対策

2009年07月05日

資産家のあなたは、狙われている(2)

賃貸のトラブルなどが、増えている。

 

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当社の場合、訴訟関係は弁護士に依頼することはなく、当社独自で行う。

従って、賃料の滞納、建物明渡請求訴訟、代位弁済請求、支払督促など、簡易裁判所の手続きは、社員が、代理人認定を受けて訴訟ができるが、地方裁判所の場合、私自身が立ち会うことになる。

お陰さまで?、最近、こちらの仕事も増えている。

特に、当社の管理形態の中で、賃料滞納保証付のものと、そうでないものがあるのだが、滞納保証がついていないものは、オーナー自ら裁判所の手続きを行わなければならず、また、入金チェックで、報告業務などで煩雑化が進んでいる。

特に、この景気の関係もあるのだろうが、賃料の滞納などが増加している現状においては、事務的にどんどん処理を進めるしかない。

 

8月25日に、「賃貸トラブル処理マニュアル」と題して、この手の処理方法のセミナーを行う。

不動産コンサルタント、賃貸管理業務責任者、実務者、プロパティマネージャーの皆さんには役立つセミナーなので、ぜひ、ご参加いただければと思います。

 

 

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相続に付け込む、取り込み詐欺!(2)

 

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 「山田さんのお宅ですか?」ある日のこと、山田のところへ電話が掛かった。

電話口の年配の女性は、いかにも公務員らしい口調で言った。「秋山さんと言う人が、ん〜、ちょっとガラの悪い人達を連れて、委任状を提示して山田さんの代理だと言っているんですが、間違いはありませんか?」

「ええ、間違いはありませんよ」ガラの悪い人たちと言うのは、いつか来た暴力団関係の人だろうな、と思った。「私の土地のことは、すべて任せてあります」

「ならいいんですが、契約書も間違いありませんか?」ちょっと疑念を持った口調で、再度、確認した。「契約内容も、間違いはないですか?」

「はい、すべて任せてあります」秋山に役所からの電話には、すべて秋山に任せてあると答えて欲しいとの指示を受けていたので、そのように答えた。

「なら、いいんですが・・・・・。」何か伝えたいことがあるような口調であったが、山田の対応から、電話で変なことでも言って、あとで嫌がらせでもされたらまずいとでも思ったのだろう、早々に電話は切られた。

一応、電話の件を秋山に伝えた所、あの女、絶対に電話をするなって言っておいたのに、とか何とか、電話の先で言っていたが、最後に間もなく決着がつきます、もう暫くの辛抱ですなどと言って、電話は切られた。

 

「価格は、約9億5000万円にほぼ決まりました」秋山からの電話で、意外に早く決着がついたことに安堵し、それが、別段、高くもない金額であることの検証等はしなかった。「近々、書類を取りに伺います」

山田の父は、その土地の売れた金額のことより、差し迫っていた相続税の納税期日に間に合ったことで、本心から秋山に感謝していた。

その後、秋山から指示された権利書、遺産分割協議書、そして実印を用意し、自宅で待っていると、秋山が、道路局の役人2人を連れてやってきて、てきぱきと書類のやり取りを行った。

「ではこれで、手続きは終わりです」道路局の役人の上司だろう人物が言った。

「今回は、土地の取引ですから、一週間後に、当方より、代金の全部を指定の口座にお振込みさせて頂いて終了です」

山田の父は、意外に簡単な手続きに驚きながらも、これで、7億円を越える相続税が支払えると、喜んで処理を終えた。

 

 

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※残り1名のみ

 

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2006年11月05日

相続対策って、どんな仕事?

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不動産コンサルタント始末記
第1話 突然の死

「え、まさか.....。」突然の訃報に、倉橋は、動揺を隠すことはできなかった。

亡くなった小林とは、ほんの1ヶ月ほど前に、倉橋の会社が主催したバスの旅行会でご一緒したばかりだった。

職業は昔ながらの大工の棟梁で、寡黙ながら人望が厚かった。また、勉強熱心で母屋とは別棟に書庫を所有しており、特に地域の歴史的文献や古書の多くが、そこには収まっていた。倉橋も何度かその書庫に入ったことがあり、江戸、明治、大正、昭和にかけてのその地域の歴史などを、たびたび小林から教授されていた。

小林は体調の都合で飲酒を控えてはいたが、このバスの旅行会では、自ら酒を持参し、夕食場所の高尾山にある「うかい鳥山」についた頃には、かなり高揚しており、この日、寡黙な小林には珍しく、宴席では自ら進んで木遣などを披露していたことを思い出した。

「ひょっとして、あのバス旅行で体調崩したんじゃないだろうな。」倉橋は、訃報を伝えた廣瀬に言った。

「いや、事故だそうですよ。」バス旅行の解散場所で、気持ちよく寝てしまった小林をタクシーで自宅まで送り届けた廣瀬は、複雑な表情で答えた。

「早朝の自動車事故です。」

小林の自宅は1500坪程度の敷地に建っている。

近隣は宅地造成が進み、大規模なベットタウンが形成されているが、先祖代々受け継がれてきた小林の自宅は、概ね山林の中腹に位置していた。

律儀な小林は、毎朝、自分の所有する山林の樹木の落ち葉を早朝から掃除することを日課としていた。前面道路の道幅は狭く、鬱蒼とした樹木によって昼間でも少々薄暗い感があるこの道は、幾度も湾曲しており、時折、若者の乗用車やバイクが、スピードを上げて通り過ぎる。

そんな折り悪く、その日の早朝、日課の清掃をする小林の後部に、若者の運転するスポーツカーが突っ込んだのである。

「先生も、気をつけないと。」廣瀬は、意味ありげに倉橋に言った。「結構、みんな心配してますよ。」最近、倉橋は、通勤と都内へ移動する為に、ホンダのスポーツカー、S2000を購入していた。

倉橋が、小林と知り合ったのは、小林の親戚からの紹介である。

地主の本家にありがちな「相続対策」に対する危機意識が欠落していた為、心配した親戚が見かねて、無理やり倉橋へ紹介してきたのである。

寡黙で用心深い小林は、最初、親戚から紹介された倉橋をも信用しようとはしなかったが、何事も歯に衣着せぬもの言いと、著書を多数執筆している倉橋を信用するには、読書家の小林には、いくらも時間はかからなかった。倉橋が初めて会った日には、その地域の歴史などを肴に酒宴となった程で、すっかり打ち解けた話ができ、その日、相続対策のコンサルティングを依頼されたのである。

「典型的なパターンだな。」

小林から預かった名寄帳と確定申告書を基にCFネッツのプロパティコンサルタント野崎恭一が収集した調査資料を分析しながら倉橋は思った。

通常、不動産コンサルタントの行なう相続対策とは、不動産評価を基に路線価格との乖離を指摘しながら相続税の納税額を圧縮する作業と、相続人間の揉め事が起こらないように行なう権利調整、そして資産の分割がし易いように積極的に不動産投資を進める作業と併せて、所有資産の権利調整などがある。

CFネッツでは、概ね10日から2週間程度で依頼者の全財産を調査し、倉橋の経験則上の相続対策に関するアイデアのアウトラインを何通りか提案するレポートを作成することから始めている。その為、依頼を受けた直後にかなり踏み込んだ調査をすることになる。

調査方法は、まず名寄帳、つまり所有不動産の課税台帳を所有者の名前で寄せたものに載っている不動産全部の登記簿謄本や公図、測量図などを1通り取得し、不動産取引上で行っている重要事項説明書が即座に書ける程度まで調査をする。そして、戸籍謄本を取得し、正確な法定相続権者を調査し、法定相続分を確定する。その上で路線価を基準とした相続税の納税額を算出する。一方、確定申告書を基にキャッシュフローの分析を行い、算出した納税額が支払えるかどうかも検証するのである。

「先生、小林さん、納税には耐えられませんね。」野崎は倉橋の表情を察しながら曇った表情で言った。「土地、売らなきゃ駄目ですかね。」

「いや、まだ若いから、時間をかければ何とかなるんじゃない。」

典型的な地主にありがちな資産背景。居住用資産が広大で、多くの更地を所有し、駐車場などの利用による過小な不動産収入。小林も同様な資産背景であり、不動産収入はたったの600万円、2億円を超える相続税の支払いなど、できる筈はなかった。

「倉橋さん、あんたに任すよ。」小林は、倉橋の作成した分厚いレポートを前に、相続税2億2000万円の数字を見てあっさりと言った。

「あんた、信用してるから、あんたの言うとおりにするよ。」

そんな小林が、突如、交通事故で亡くなってしまったのである。

小林の葬儀は盛大であった。

道路から山林の中腹にある自宅までのアプローチには、数え切れない花輪と生花が飾られていた。お通夜には倉橋、廣瀬、そして野崎は通夜に参列し、焼香をあげた。

倉橋には、その掲げられた写真から「倉橋さん、あんたに任すよ。」との声が聞こえたような気がした。

この続きは こちらをご覧ください

また、当社では、このような小冊子を発行しています。各オフィスでも入手できますが、遠方の方にも販売をしています。詳しい内容はこちらをご覧ください!c871a076.jpg

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2005年06月30日

不動産コンサルタント始末記 相続対策 9

 第2章 突然の相続対策 〜 第9話 評価結果 〜 

倉橋は、曽我から小林の自宅の不動産鑑定評価額を電話で聞き、本来であればもっと下がる筈だと主張はしてみたものの、曽我の態度から、これ以上下げることは難しいと判断し、あと少し頑張ってもらうよう伝えた。
「先生、いくらになったんですか。」
小林の貸している倉庫の敷地を、実態にそって倉橋と一緒にテナントを回りながら測量を進めていた伊東が倉橋に聞いた。
「1億は、切りました?」
「いや、1億4000万円だって。」
結果については、まだまだ不本意ではあるが、曽我の評価で、ここまで下がれば、々問題は生じない。
「多分、曽我先生が努力した結果でこの評価であれば、ここまでが限界かも知れない。」
「でも先生、4億円の評価が1億4000万円なんだから大成功じゃないの。」
伊東は、倉橋に慰めるように言った。
倉橋は評価額については、もう少し下がると予想はしていたものの、この結果について不満ではなかった。
曽我は、いつも限界まで挑戦してくれる不動産鑑定士である。ある意味、倉橋は、曽我がやって、ここまでとなれば、それ以上は無理であることを知っていた。
当初、小林家の相続は、2億2000万円程度の相続税がかかる計算であり、生命保険と現金を合わせても3000万円しか金融資産はなく、明らかに1億9000万円程度の資金がショートする小林家の相続であった。概ね交通事故での賠償金5000万円程度は見込めるものの、それでも1億4000万円は確実にショートする、明らかに相続破産のパターンであった。ところが曽我の不動産評価によって遺産総額は確実に下がり、現時点では、相続税が1億2000万円程度まで圧縮できた。
また、先日、小川製作所に畑を売ったことで資金が3700万円入っており、生命保険と現金が3000万円あるから、後は5300万円で足りることになる。
取り敢えず、交通事故の賠償金が5000万円入ってくれば、ほとんど資金のショートは解決できることになる。
「先生、相変わらず凄いね。」
伊東は、測量をしながら倉橋の説明を聞き、何だか狐に抓まれたような顔で言った。
「小林さん、先生がいなかったら大変でしたよね。」
「いやぁ、亡くなった小林さんの人徳じゃないの。運がいいんですよ。」
そう言いながら、倉橋は付け加えた。
「でも、世の中には、相続税の申告の仕組みを知らずに一財産失っちゃう人って多いんだよね。無知からくる利益の喪失って言うかさ、世の中に我々のような仕事をする会社って少ないから仕方がないかもしれないけど、資産家や地主も、欧米並みにパートナーシップのとれるコンサルタント会社と付き合えばいいのにね。」

「先生、良い知らせです。」
いよいよ測量の段取りも終わる頃、某地方銀行の塚本から、倉橋の携帯電話に連絡が入った。
「先日の小林さんの相続税納税資金、今日本部から正式に承認が下りました。」
「あ、そう。」
塚本の明るく自信に満ちた声とは裏腹に、倉橋の声は曇った。万一、納税資金がショートしたときを考え、融資の打診をしていたのである。
「で、どんな回答。」
「頑張りました。」
銀行員にしておくのはもったいない程の営業マンの塚本は、自身たっぷりに言った。
「1億円、20年の長期返済です。金利は、通常金利の0.3%引かせてもらいます。どうです、頑張ったでしょう。」
「ん〜、ごめん。謝まんなくちゃならないことがあるのね。」
電話の向こうで、塚本の酷く落胆した表情を感じながら、倉橋は言った。
「お金、いらなくなっちゃいそうなんだ。」
「えっ。」塚本は、声をつまらせた。
「どう言うことですか。」
「相続税、半分くらいになっちゃう感じなんだよね。」
「そんな殺生な。」
関西人でもない塚本は、そんな言葉で落胆した表情を示した。
「先生、じゃぁ、相続が終わったら小林さんに投資物件でも買ってもらってくださいね。」
「わかった、了解です。」
倉橋は、小林の資産背景から、賃料収入の少なさを実感していた。
「いま測量している土地に、将来、収益物件を建築するから、その際、必ず塚本君のところから借りるからさ、今回の件は勘弁して。調査費用は、うちの口座から落としておいてくれればいいから。」
「先生、都銀さんはなしですよ。」
営業マンらしく、押さえを入れてから、塚本は、快く納得して電話を切った。
「先生、たまには食事でもしましょうか。」いよいよ小林の所有する全部の土地の測量を終え、一通り思惑通りに話が進んだことから、倉橋は伊東に言った。
「いいですね、先生。約束どおり奢ってくれる。」
伊東はそう言うと、ニコニコしながら資材を片付け出した。

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2005年06月26日

不動産コンサルタント始末記 相続対策7

 第2章 突然の相続対策 〜 第7話 相続税圧縮  〜 

袋地の土地をあっさりと小川製作所に売却を決め、倉橋と伊東測量事務所の伊
東は、他の土地の測量を進めていた。
本来、相続対策は、被相続人が生きているうちに準備するものである。
通常、倉橋の手法としては、不動産は、即時、売却や物納ができる状態に整備しておくように心がけており、相続が発生した時点では、ほぼ物納や換金ができる状況にしておくようにしている。
ところが、今回の小林の相続は、突然の事故死の為、準備に相応な時間すら掛けていられない状況であり、ぶっつけ本番で相続開始後10ヶ月の時間内にすべて決着をつける必要がある。

「しかし地主さんって言うのはいつも思うんだけど、自分の土地に興味がない
のかねぇ。」伊東は、倉橋に率直な感想を漏らした。
小林の土地は、ほぼ全部が測量等を行っておらず、不整形の土地のまま、隣接地の所有者と境界の立会い等を行っていなかった。
「とりあえず相続税の申告用には現況測量でもいいかもしれないけど、せっか
くだから、この際、隣地も立会い同意を得た方がいいですよね。」
「もちろん、そうしてください。」
倉橋はそう言うと、付け加えた。
「地主さんって、測量して縄伸びなんかすると、税金が高くなるからって嫌がる人、本当に多いからね。ほとんど、後で誰かが苦労するってこと、考えてないよね。」
そんな他愛ない話をしながら、倉橋と伊東は、倉橋の経営するCFネッツの港南台オフィスで着々と測量の行程を具体的に打合せした。
「こんにちは、ご無沙汰です。」倉橋と伊東の打合せに、ついでだからと、その日、不動産鑑定士の曽我に同席するよう支持していた。
曽我は、倉橋に挨拶すると伊東にも丁寧に名刺を差し出しながら挨拶をした。
「はじめまして、曽我鑑定事務所の曽我です。」
倉橋は、いつも、このような仕事に取り組む際、専門家のチームを作り、自ら
がいないときにも直接打合せができるよう、このように顔つなぎをすることが
多い。
「曽我先生、一応、今回は自宅部分のみを鑑定評価で申告しようと思っています。」倉橋は短決に曽我に指示を行った。
「この自宅、路線価での評価は4億円にもなるんですが、実際、売ろうと思っ
ても、とてもそんな金額で売れる代物じゃありません。」
「一応、これが私の簡易評価です。」
曽我は、一枚の紙に書いた概算の簡易評価額を倉橋に手渡した。
曽我も、倉橋とは多くの取引を行っており性格も知っているから、打合せの際には事前に物件を下見し、簡易評価を持参して打合せするようにしている。
「概ね、半額の2億円には下がると思います。」
「いやいや、先生。私は、そうは思っていませんよ。」
倉橋は、にこにこしながら曽我に詰め寄った。
「先生、これ、突然この土地を買ってくれって不動産屋さんに行ったとしますよね。いくらで売れますかね。」
「ん〜、そういわれると、確かに2億円では無理かもしれませんよね。」
曽我は、不動産鑑定士らしからぬ表情で、あっさりと倉橋の意見に納得した。
「伊東先生、コンタ(高低測量)割図、できてましたっけ。」
倉橋は、伊東にコンタ割図を出させ、説明した。
「我々この土地を買おうとすれば、まず造成工事の見積もりを出しますよ。」
倉橋はコンタ割図をコピーして、その上に造成宅地の絵を書きながら説明した。
「ここは第一種低層住居専用地域ですから、高度利用してマンションの建築なんかできません。従って、住宅用地として宅地造成を行い、売却するしかないんです。そうするとね、道路部分も当然売買対象面積にはならないし、ここまで傾斜がきつければ法面の面積もかなり出てきます。」
「なるほどね。さすが先生は不動産屋だ。」
曽我は不動産鑑定士であるから、土地の評価額を算定することは得意であるが、
やはり実務的な感性は倉橋には勝てなかった。
「これで行くと、有効宅地は4割くらいになりますかね。」
コンタ割図に三角スケールをあてながら、ざっくりと倉橋が書いた宅地造成のイメージ図を見ながら、曽我が言った。
「そうそう、ひょっとするともっと少ないかもしれません。」
倉橋は、曽我と伊東に言った。
「ここは崖地割合を差引いても、路線価だと4億円以上の評価になっちゃいますよね。一般的にみると1500坪で4億円だから坪当たり約26万7千円だから安いように感じてしまうけど、我々、業者からみると、とんでもなく高いんですよ。」
「で、先生だったら、いくら位と考えているんですか。」
曽我は、倉橋に率直に尋ねた。
「計算してみないと分かりませんが、私だったらタダでもいらない。」
倉橋がそう言うと、曽我も、伊東も笑わなかった。

  ・・・続きは、またお届け致します!

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2005年06月17日

不動産コンサルタント始末記 相続対策 5

第2章 突然の相続対策 〜 第5話 価格交渉  〜 

「こんにちは。」
倉橋は、小林の所有する畑が接する国有地を払い下げる為に隣地の阿部宅に小林の長男を連れて訪問した。
「私、不動産コンサルタントの倉橋と申します。」
「はあ。」倉橋と小林を見るなり、阿部の妻は訪問の目的を探るような口調で言った。
「このたびは、ご愁傷様でした。」
「通夜の時には、わざわざおこし頂き、ありがとうございました。」小林は、丁寧な挨拶をしながら、率直に訪問の目的を切り出した。
「本日は、この裏側の畑のことでお伺いいたしました。」
「ああ、お父さんが亡くなったいま、畑、必要ないですもんね。」阿部の妻は倉橋が同行していることで、この畑を売却することを察したように言った。
「売っちゃうんですか。」「いや、まだ、そこまで話が進んでいるわけではありません。」小林は、売却については否定的に答えた。
「父が突然亡くなって、相続の関係でいろいろと整理しなくてはならないんです。」「小林さんから生前、相続対策のお仕事を戴いていたものですから、私が今後、いろいろと権利調整を行っていくことになりました。」
倉橋は、小林に割って説明をはじめた。「この裏の畑については、阿部さんの横から青地を通って入るしかありません。そこで小林としては、この青地を払い下げる手続きが必要になります。阿部さんのお宅は、この青地と接していますので、この青地の払い下げには阿部さんの協力が必要となります。」
「協力って言いますと。」阿部は、費用等が掛かるのではないかと不安になり質問した。
「もちろん、青地の払い下げには測量費用等が掛かってきます。」倉橋は、交渉をする際、まず掛かる費用から説明をし、その費用をこちらが持ち、かつ、相手方にメリットのある話をする。
「ただ、阿部さんがこの青地を払い下げる意向がなければ、その費用は、当然、小林が全額負担しますし、また、阿部さんの土地も現時点では測量点が明確になっていませんから、本来であれば阿部さんの費用で行わなければならない測量も、今回、ご協力いただければ小林が全額負担します。如何でしょうか。」
「ええ、でも、うちが負担しなければならないものでしたら、それは、うちで払っても構わないんですが、おいくらくらい掛かるんですか。」阿部は、不安そうに尋ねた。
「だいたい、30万円くらいは掛かると思います。」
倉橋は、金額についてはきっぱりと答え、付け加えた。
「せっかく小林側で負担すると言ってますから、ここはお言葉に甘えては如何ですか。」
倉橋と阿部の妻との間で、数回のやり取りをしながら、結局、測量費用等の全額を小林が負担することで国有地の払い下げに協力を取り付けることができた。
「先生、測量の立会いの日が決まったよ。」
倉橋は、その夜、早速、伊東測量事務所の伊東に電話をした。
「測量当日は、なるべく多く、ひとを連れてきてください。」「え、あの程度なら2人で充分だけど。」
伊東は、倉橋が何を言いたいのか分からなかった。
「何か、理由があるんですか。」「うん、この国有地の反対側に小川製作所ってあるでしょ。」倉橋は伊東に言った。
「あの小川さんのとこにアピールしたいんですよね。」「だって、今回の測量には関係ないですよね。」更に伊東は怪訝そうに訪ねた。
「いや、大有りですよ。」倉橋は、ニコニコ笑いながら言った。「だってこの土地、小川さんに買って貰うんですから。」
測量の当日、CFネッツからは倉橋と野崎、そして小林、伊東測量事務所の4人が現場に集まった。本件土地の侵入路である位置指定道路には、行き止まりであることを良いことに、いつものように小川製作所の車両が一列に並べられており、また、小林の所有する畑の一部にも焼却用のドラム缶や資材などを勝手に置いたりしていた。
「小川さん、いらっしゃいますか。」倉橋は、小川製作所の鉄の扉の奥に向け、大きな声で呼びかけた。
「はい、私、小川ですが。」奥から大きな体の小川が出てきた。
「何か、用ですか。」
「ええ、私、不動産コンサルタントの倉橋といいます。」倉橋は、丁寧に名刺を差し出すと、とり急いで用件を告げた。
「すいません、これからあちらの土地で測量を行うのですが、小川さんのところの車を一時どかしてもらいたいんです。」
「ああ、これはどうも。」一瞬、むっとした表情であったが、路上駐車をしているのは小川のほうなのだからと、社員に車両の移動を命じた。
「ここの土地、どうするんですか。」
「いや、ご承知のとおり、小林が亡くなりまして、この土地を売却しなくてはならなくなりました。」
倉橋は、小川の顔色を見ながら言った。
「そこで私の会社で購入して、建売でもやろうと考えましてね。今日は、青地の払い下げを行う為の測量を行います。」
「え、この土地で建売って、住宅を建てるんですか。」
現時点でも、近隣住民から苦情を受けていた小川には、聞き捨てのならない話であった。

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2005年06月13日

不動産コンサルタント始末記 相続対策 4

第2章 突然の相続対策 〜 第4話 全体計画  〜 

「先生、ご無沙汰しています。」
小林との方針を打合せした翌日、倉橋は、いつも利用している伊東測量事務所の伊東に電話をした。
「また、相続が発生したのでお願いします。」
「ここの所、多いですね。」 伊東は、倉橋に言った。
「今度は、横浜市内ですか。」 
倉橋は急ぎの仕事となると、いつも伊東を使っているが、直近では千葉や静岡の測量まで頼んでいた。
「ん〜、大丈夫ですよ、全部、横浜市内。それもまとめて四ヶ所くらい。」倉橋は、明るく言った。
「相続人、お金ないんだ。全部まとめて先生の所に任せるから、測量代、負けて。」
「先生の話は、いつもそうじゃないですか。」そう言いながらも伊東は笑いながら答えた。
「終わったら、ちゃんと一杯ご馳走してくんなきゃいやですよ。」
そう言って、快く引き受けてくれた。伊東はいつもそういって廉価で測量を引き受けてくれるが、双方、かなり忙しいから、一度も酒席を同席したことはなかった。
「ただね、一ヶ所だけ急いで売らなきゃならない所があるので、そこを至急やりたいんですよね。」
倉橋は、昨日、小林の家族と約束した通り、袋地の畑の部分を先に測量してもらうことを伊東に指示した。
「ここは袋地なんだけど、位置指定道路まで幅2メートルを超える国有地があるのね。ここの払い下げ申請も同時にやって貰いたいんです。」
「えっ、先生、今回、相続でしょ。」 伊東は、驚きながら倉橋に言った。
「国有地の払い下げって、結構、時間かかりますよ。大丈夫ですか。」
「うん、分かってますよ。」 倉橋は、平然と言った。
「これはね、一つのポーズですから、気にせずやってください。また隣地の立会いが必要ですから、その際は、必ず私が立ち会いますので、日程等が決まったら、教えてください。」
そして倉橋は、小林の所有する土地の全部の地図と公図、謄本等を伊東にファックスをし、コンタ(高低測量)割図も同時にお願いするなど詳細な打合せをスムーズに行った。
その後、東京の不動産鑑定士にも、同時に同じ書類を送付し、打合せは後日行うので、現地を確認して写真だけでも先に撮ってもらうように指示をした。

相続対策などの仕事の場合、申告納税までに相続発生から10ヶ月しかないこともあって時間的には余裕がない。今回のような急な相続の場合、自分の努力では時間が短縮できず、専門職を活用しなければならないものを先に段取ることが鉄則である。
そうすることによって、同時並行的に仕事が流れて進むので効率的である。
「先生、こんな袋地、本当に処分できるんですか。」 一応の段取りを終えて、書類を前にコーヒーを啜る倉橋に、心配そうに野崎が言った。
「これ、家、建たないですよね。」
「ま、みてろよ。」倉橋は、自らの策に確信めいたものを感じながら、野崎に作戦を説明しだした。
「ここに小川製作所ってあるだろう。」
「はいはい、あの隣が自宅になっている工場ですよね。」
野崎は、倉橋の言いたいことを多少察知したのか、聞き返すように言った。
「この会社に買わそうって言うんですか。でも、こんな袋地、こちらから話もっていったら、かなり値段、叩かれませんか。」
本件土地は、奥行き22メートル、幅4.5メートルの位置指定道路の突き当たりに位置し、この道路と本件土地との間には河川と一部他人の土地が横切っており、正に袋地である。
この道路の西側に小川製作所と自宅があり、この工場の一部が本件土地に接している。
また一方、東側には古い民家があり、この民家の玄関先の3メートル程度部分から本件土地に向けてちょうどうまい具合に2メートルを超える幅で国有地(かつてあった畦地)が存在していた。
「そこでだ、ここの国有地を払い下げる。」 
倉橋は、公図上の国有地部分を指差して野崎に言った。
「そうすりゃ、れっきとした宅地になる。」
「でも、隣は工場だし、給排水なんかの設備にお金が掛かりますよね。売れますかねぇ。」
野崎は、倉橋の言いたいことを理解できずに建売か何かを想像していった。
「馬鹿だね、おまえは。や、鈍いねぇ。」倉橋は、ニコニコしながら野崎に言った。
「あのな、水道の水って、ほとんどタダみたいだろ。」
突然、倉橋は、違う話題を切り出した。
「でも、自動販売機で売ってる水は120円もするよな。これを砂漠のど真ん中に行って、売ったらどうなる。」
「そりゃぁ、高く売れますよね。」
野崎は怪訝そうな顔つきで、倉橋に付き合っていた。
「本当にほしい人だったら、全財産叩いても買うかもしれませんね。」
「そこだ。物の価格は、需要と供給によって左右されるもんだ。」
倉橋は、野崎の怪訝な顔つきを楽しみながら、意味ありげに言った。
「水道の水を、せめて自動販売機の水にしてみせる。ま、見てなよ。」

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2005年06月12日

不動産コンサルタント始末記 相続対策 3

第2章 突然の相続対策 〜 第3話 畑の売却  〜 

「とりあえず、お金が動かせるようにしましょう。」
倉橋は、小林家の全員の前で説明しだした。
「縁起でもない話ですが、2次相続を考えるとお母さんが現金を相続しておいたほうが有利です。明日にでも私のほうで現金についてのみの遺産分割協議書を作成して野崎に持たせますから、全員、実印と印鑑証明を用意しておいてください。」
通常、相続税が課せられるような家庭での被相続人の預金通帳は亡くなった時点で現金を動かせなくなってしまう。相続税の申告には土地の測量が必要であったり、また一部の土地を売却するにしても宅地造成費などがかかったりと、現金が必要となるケースが出てくる。その為、遺産分割協議書、つまり相続人全員の総意でその預金通帳の中身の現金を一部の人のものにする意思表示を行い、そのお金を動かせるようにしておく必要がある。
「次に和男さん、和男さんはお父さんの事故の加害者の損害保険会社との交渉にあたって下さい。」倉橋は、和男に指示した。
「当然、相手方は示談を希望してきますから、なるべく賠償額を有利に交渉してみてください。ただ、この賠償額は納税額に充てる可能性が多いですから、納税期限に間に合うようにスピーディに行ってください。」
「次に、この土地ですが、これは当初の予定通り売却したいと思いますが、如何ですか。」倉橋は、小林の自家で利用している畑を指して言った。
「売却メリットのある土地は、ここしかありません。」
当然、他の土地や建物も売却すればできないことはないが、売却すれば賃料が入ってこない。これは倉橋特有の理論であるが、相続対策はバランスシートで考えながら行うというものである。
賃料収入から経費や固定資産税を差し引いたものが現金資産である。
この現金資産と同様な資産の括りの中に不動産があるのであるが、不動産資産が過大であると固定資産税などの経費が膨らみ現金資産は圧縮され、また今回のような過大な相続税が課税されてしまうという悪循環に嵌ってしまう。
ここで重要なことであるが相続税は資産との対比される負債という考え方が重要である。例えば、銀行からの借入金は、年に数度、返済計画表などが金融機関から送付されてくるから負債としての認識は高く、返済計画などは当然考えるものであるが、相続税の場合、被相続人が亡くなって初めて認識される、突然発生する負債である。
本件の小林家のような場合、不動産資産が過大であるにも拘らず賃料収入は少なく、そのキャッシュフローは相続税の支払いに追いつかない。
倉橋流の相続対策、いわゆる資産を増やして減らさない相続対策とは、このバランスシートの中で、相続対策に有利な不動産投資を行い、キャッシュフローを高めながら相続税という負債を減らし、結果、納税に耐えうる金銭的体力を整えるというものである。
 
「この畑は売却してもキャッシュフローに影響しません。」
沈黙する小林家の家族全員に、倉橋は言った。
「今後の資産維持には、この売却は不可欠です。」
相続税の納税後にバランスシートが悪化し、結局、全財産を失ってしまう人を多く見てきた倉橋の言葉には説得力があった。
「これは親父も納得していたことだから、いいんじゃないかな。」
以前、同じ倉橋のレポートを見て亡くなった小林が納得していた姿を思い出しながら和男は言った。
「でも、親戚がなんて言うかね。」
トメは多少戸惑いながらも、他に選択肢がないことを知っていた。
「売却するにしても、こんな土地、急に買い手がつくかね。」
本件土地は道路からの接道がない、いわゆる袋地である。
従って、普通に売ろうと思っても、そう簡単に売れるような土地ではなかった。
「私には、ちょっとした考えがあります。」
倉橋は、この土地の公図を見ながらトメに言った。
「売却してよければ、有利に売却して見せます。」
この小林家には相続税の納税資金がなく、手っ取り早く現金化できるものは、この土地と遭遇した交通事故での賠償金しかない。
なるべく有利に現金化し、納税資金を用意しなければならない。
「しかし、この土地を売却しても、資金は不足しますよね。」和男は、不安げに倉橋に尋ねた。
「残りの資金はどうすればよいですか。」
「いいですか、和男さん。」
倉橋は、和男をはじめとする小林の家族を前に切り出した。
「例えば、この自宅ね。この土地と建物の評価は4億円を超えています。」
路線価表と名寄帳の面積、そしてがけ地割合などの根拠を示して説明した。
「この土地ね、私が買うとしたらいくらだと思いますか。ま、私じゃなくても構わない。和男さんだったらこの家と土地で4億円も出して買いますか。」
「いやぁ、とんでもない。4億円も出すならもっと豪邸が買えちゃうんじゃないですか。」和男は、倉橋が何を言いたいのか分からなかった。
「相続税の申告をする場合、ここのように路線価が定められているところは路線価を基準に不動産評価を行って申告する場合と、もうひとつやり方があります。」
倉橋は、小林家の全員を見渡して付け加えた。
 
 「実勢価格による不動産評価です。」

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2005年06月11日

不動産コンサルタント始末記 相続対策編 2

第2章 突然の相続対策  〜 第2話 計画 〜 
 
「先生は、今日は、こちらにご在籍ですか。」
2週間ほどして、小林の長男、和男から電話が入った。
 
「その節は、いろいろとありがとうございました。」
「いやぁ、大変でしたね。」倉橋は返す言葉がわからず、曖昧な口調で言った。
「その後、如何ですか。」
「母がちょっと落胆していましたけど、かなり回復してきました。」
和男と話をしながら、突然の事故死の家族の気持ちとは、かなり複雑なんだろうなと倉橋は思った。
「でも、いつまでもくよくよしていられません。早速、先日のレポートのとおり相続対策をお願いしたいのですが。」
その日、倉橋と野崎は小林のお宅にお邪魔し、小林の仏壇に線香をあげてから、具体的な対策の説明をした。
「小林さんの不動産による資産ですが、路線価格での申告ですと、先日もお話した通り、2億2000万円程度の相続税がかかってきます。」
倉橋は、率直に数字による説明を和男と母トメ、そして二人の姉妹の前で説明をした。
「生命保険と現金を合わせても3000万円しか金融資産はありませんから、1億9000万円程度の資金がショートします。」
小林の家族全員の顔には焦りとも翳りとも思える表情が表れだした。
「ただ、今回の交通事故での賠償金は非課税で5000万円程度は見込めると思いますが、それでも1億4000万円は確実にショートします。」倉橋は、ヒューレットパッカード社の金融電卓を使いながら、更に説明を続けた。
「しかし残念ながら、現状の賃料収入では、金融機関からの借り入れは8000万円程度が限度と思われます。従って、最終的には6000万円を何とかしなければなりません。」

「俺たち、何か、悪いことしたのか。」和男は、ぽつんと言った。
「結構、質素な暮らしをしてるよな。」母トメのほうを見ながら、やるせない表情で訴えた。
「親父が死んで、交通事故の賠償金や生命保険のお金を全部もっていかれて、更に今後の家賃の20年分を吸い取られ、その上、6000万円も足りないなんて、こんなことって許されるんですか。」
「お気持ちはわかりますが、事実です。」倉橋は、まず正しい認識をもってもらうように、きっぱりとした口調で言った。
「相続税って、そういうものなんです。」
「これって、払えなかったらどうなるんですか。」トメは、恐る恐る倉橋に聞いた。
「相続税の申告期限は10ヶ月です。そして、申告と同時に納税しなければならないのですが、金銭で納税できない場合、物納って言って、不動産などの財産を引き渡して納税に充てることもできます。」
倉橋は、物納の説明を簡単に行った。
「小林さんの場合、倉庫や作業所などに貸している土地がありますが、これは多分、物納では引き取ってもらえません。また、一部畑にしている土地も、接道に問題がありますから、難しいと思います。」
「じゃぁ、私たちはどうすればいいんでしょうか。」トメは悲鳴ともとれる口調で言った。
「仮に6000万円借りることができても、返済できないじゃないですか。売るに売れない土地に課税されて、過大な借金抱えさせられるくらいなら、全部手放したほうがいいくらいじゃないですか。」
「多分、この税制を考えている人たちは、このような現状は知らないと思います。」
倉橋は慰めるようにトメに言った。
「地主さんって言うと、土地いっぱい持っているから、こんな税金は払えると思っていると思いますよ。」
 
小林の所有する不動産は、自宅とその敷地約1500坪、倉庫で貸している建物と敷地350坪、同じく倉庫・作業所で貸している建物と敷地250坪、300坪の土地上に3件の建物を建て別個に貸している倉庫、そしてその手前に駐車場として貸している更地150坪、そして自家で利用している畑が60坪である。いずれも広い敷地に小さな建物が建っており、人の良い小林は、その土地の多くを非常に廉価で賃貸しており、賃料収入はたったの600万円しかなかった。
 
「俺、こんなものいらない。」和男は、現実を前に唖然としながら言った。
「先生、相続放棄っていうの、ありましたよね。現金と自宅だけ残して、その他は放棄することってできるんですか。」
「それは無理です。放棄する場合、全部を放棄する必要があります。」

「これから私たち、どうすればよいのでしょうか。」
トメは、今まで相続税のことなど考えずに過ごしてきたことに後悔しながら倉橋に言った。
「急な相続ですから、時間がありません。」
倉橋は、小林家の全員に協力を求めるように言った。
 
 「これは、一種の戦いと思って取り組んでください。」
 
そして倉橋は、小林の生前に説明を行ったレポートを広げ、具体的な作戦を説明しだした。

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【筆者のプロフィール】
不動産売買のトップセールスマンとして活躍し、これまでの売買実績は軽く300億円を超える。また、日本人として初めて不動産管理士の国際ライセンスCPM(Certified Property Manager)を取得。さらには、世界的ベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ氏)が日本で発売される前に、著書「アッと驚く不動産投資」を執筆し、話題となる。

主な経歴
(株)CFネッツ 代表取締役

(株)月極倶楽部 代表取締役
(有)CFビルマネジメント 代表取締役
(有)不動産綜合研究所 取締役社長
JREM国際CPM協会 2002年度会長
(社)全国賃貸住宅経営協会 神奈川横浜南支部長
(社)全国賃貸住宅経営協会 神奈川連合会副会長

現在、グループ企業4社の代表取締役と取締役、そのほか公益法人の役職を務め、超多忙な仕事をこなしている。
また、実務的には、不動産投資から不動産全般の法律問題、相続対策、 建築コンサルティングや、不動産業者向けの経営コンサルティングやシステム開発にも定評があり、併せて住宅新報社の不動産コンサルタント養成講座、にじゅういち出版社の法務エキスパート養成講座等の専任講師、そのほかにもリクルート社や大手金融機関、全国宅地建物取引業協会全日本不動産協会、全国賃貸住宅経営協会、日本賃貸管理業協会などでは全国各地で経営者、および実務者向けの講演を行ない、わかりやすく楽しい解説にも定評がある。
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