倉橋隆行のプロに学ぶアッと驚く不動産投資

実務経験豊富な不動産コンサルタントがプロだけが知っているノウハウをお教えします!

相続対策

2009年11月09日

資産家のあなたは、狙われている(20)

遅ればせながら、20話。

 

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本レポートは、既に小冊子化が出来ています!

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相続に付け込む、取り込み詐欺!(20)

「倉橋先生、訳のわからない人たちから嫌がらせのような電話が来ていますが大丈夫でしょうか」信託物件の所有権移転禁止の仮処分が裁判所に受理されてから間もなく、山田の自宅には脅迫めいた電話が数多く鳴った。「今回の取引に絡むものだというだけで、身分を明らかにしないんですが、この仮処分を取り下げないと、大変なことになるみたいなことを言って来ています」

「ま、脅しでしょ」倉橋は、落ち着いて説明した。「権藤も、中岡不動産も、札付きのような人たちですから、彼らの利害関係人が慌てて連絡してきているだけです」倉橋は、各方面から情報を仕入れており、権藤は、反社会勢力の組織に所属した経験があり、この詐欺事件を巻き起こした時点では、組織から離脱していた事実が判明していた。 「彼らは、脅しはするかもしれませんが、実際に、実力行使をすればどうなるかを自分たちが良く知っていますから、山田さんは、裁判所にお願いしていますので、どうぞ、裁判所に言ってください、というようなことを伝えてくれれば、それで構いません」

山田所有の不動産には信託登記がなされており、間もなく外資系ファンドに売却される直前であった。

かなり手口は巧妙であり、権藤も中岡不動産も、山田が気付いたときには、すべてのことは済まされている状態にしてある。例えば、権藤に対する損害賠償の請求がなされ、それが認められたにしても、支払能力のない権藤に対する債権であるから無意味だし、また、土地の返還請求が成功したところで、土地の価値以上に設定されている抵当権があるわけで、その抵当権を外すことができなければ、いくら所有権が帰ってきても競売等で処分されてしまうから意味がない。

 

「篠原先生、信託受益権への差押えはできませんか」苦肉の策で倉橋は、篠原弁護士に電話をかけて話した。「山田さん、このままだと精神的に潰れちゃうかもしれない。普通の人は、ああいった連中から連絡が来るだけでも疲れちゃうもんね」

「そうですね。私自身も、そういう提案をしようと思っていた所でした」篠原弁護士も、倉橋と同様の考えがあり、本件の長期戦は望んでいなかった。「やっぱり、倉橋先生の言ったとおりの連中のようですね。ただ救いは、信託登記になっていますから、出口的にはファンドに売却する方向だと思います。信託受益件を押えて、買主側から、慌ててアクションがあると助かりますけどね」

信託登記がなされている以上、その信託に瑕疵があればファンドの組成などできない。所有権移転禁止の仮処分だけでも有効だが、売買代金などの受け渡し等の信託受益権を差し押さえてしまえば、資金も動かすことができず、本件土地の買主が炙り出されてくるのではないかと倉橋も篠原も考えていた。

「ここまでくれば山田さんには、リスクも何もないよね。取りあえず、怯まないでやれることをやろうよ」倉橋はちょっと気弱な篠原に、明るく励ますような口調で言った。

 

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2009年11月03日

資産家のあなたは、狙われている(19)

現在、名古屋講演に向けて移動中!

 

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そういえば、5日にテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」という番組に登場する。

最近、テレビ見ましたよ!という声を聞くが、ここの所、数回、あちこちのテレビに登場している。

なかなか自分でみることは無くなってしまったが、せっかく出るならブログで告知してください!との声があったので、告知する。

この番組には、3回目の登場になるが、午後11時からの放映ですので、お時間がある方は、ぜひ、ご覧ください。

当社、PM事業部の呉山君たちも登場します!

では、行って来ます!

 

相続に付け込む、取り込み詐欺!(19)

「先生、大変なことになりました」こちらから篠原弁護士に電話を入れようと思っていた所、篠原弁護士から倉橋に事務所に電話がかかった。「権藤が、亡くなりました」

 「しかし、面倒なことになったな」しばらく沈黙してから倉橋が言った。「ま、中岡不動産が存在するから、進行には影響ないか」

 「そうですね」篠原弁護士も、倉橋の話に同調するように言った。「すでに破産してしまっていますから、こちらは粛々と事務手続きを進めるしかないですね」

 倉橋は、篠原弁護士に、打合せ後の山田の意向を伝え、取りあえず急いで手続きをしてもらうように話をした。

 

 裁判の場合、原告、被告、今回、仮処分の申し立てであるから、この場合、申立人、相手方と呼ぶが、いずれも当事者として争う。今回の場合、申立人の山田側も、相手方の1人、権藤が亡くなったとなれば事務手続きの変更に時間が掛かってしまうし、裁判所とも打合せを繰り返さなければならない。その為、篠田弁護士は、その打合せの詳細について、逐一、電子メールで全員に同報して報告してくれていた。

 ただ、裁判所の窓口の扱いにも不満は募るし、転売されてしまっては、保全手続きの意味すらなくなり、裁判は長期化し、新たなリスクも発生してしまう。

 「信託中の不動産の差押えについては、可能であることの確認はできましたが、実はこの土地に5億円を超える抵当権が新たに設定されてしまっています」篠原弁護士は、電子メールで山田と倉橋、そして秘書の小林に報告してきた。「詳細について、当事者である山田様のご家族に詳細を説明したいと考えますが、如何でしょうか」

「私としては、前回、倉橋様より充分な説明を受けていますし、我々は、法律的には素人です」山田は、同報の電子メールで篠原弁護士に回答した。「倉橋様、小林様に、全権限を委任してお願いしていますので、どうか存分に手続きを進めてください」

 「しかし、我々、弁護士としてもリスク説明をしないまま手続きを行うことは、若干、不安を覚えます」不動産評価を超える抵当権が設定された不動産に、仮差押え手続きを行って、依頼者に負担を強いる結果となる可能性があることに抵抗を感じたのか、篠原弁護士のかなり慎重な態度が窺えた。「山田様のご家族様と、倉橋先生と同伴して打合せをさせて頂くわけにはいかないでしょうか」

 「篠田先生へ 山田側も私も腹を括って、この仮差押えに臨んでいます」倉橋は篠原弁護士の弱気な態度に速度が遅れることを恐れ、作戦に出た。「あとは篠原先生がどれだけ、弁護士のプライドをかけて戦えるか、だけだと思います」

「倉橋先生へ 転売される可能性は当方も十分承知しています。本件は、利害関係人が多数存在し、法律関係が複雑です」篠原弁護士は倉橋の電子メールに明らかに不快感を持って回答した。「中岡不動産は、権藤の会社からの直接の転得者ですが、現時点では信託受益権の登記が行われています。つまり、相手方は信託を受けた者であり、さらに山田様からは、かなり離れた地位にあります。権藤の会社の財産に対して仮差押をかけるような単純な事例ではありません。さらに多岐に渡り、根抵当権、信託登記もたくさんついて、分析するのも、資料のコピーをとるのも時間がかかることをご理解下さい。私は全ての私生活を捨て、土日も事務所にでて資料を分析し、何度も法律構成を考え、何度も仮差押申立書、仮処分申立書を書き直しました。私なりにプライドをかけて全力しているつもりです」

 「篠田先生の努力も分かっています。しかし我々の仕事は、結果が全てだということです」倉橋は、彼の将来性に賭けて、突き放すように返事を書いた。「我々は、今更、法律を学ぼうと思っていません。先生には、法的手続きをお願いしているのです」

 これには、更に篠原弁護士は強い不快感を持ったようだが、これ以上、進行を遅らせるわけには行かないし、倉橋と山田の中では、方針が決まっていた。何より今更、篠原弁護士が山田の家族に詳細を説明することにより、家族の誰かが不安感を持って、この差押え手続きを取り下げるなどとなっては、さらに進行度合いが遅延する。

 その日から篠原弁護士は、更に睡眠時間をも削って、この事件に没頭してくれた。

 差押える土地は12筆に分かれており、山田側の相続人は4人である。この12筆の土地をそれぞれ区分して仮差押えを行うわけだが、この作業だけでもかなりの時間が掛かる。その上、裁判所の見解がぶれる為、いちいち裁判所に篠田弁護士は足を運んだ。

「倉橋先生、一定の条件付ですが、裁判所で、仮処分と仮差押えの申立ての受理ができることになりました」篠田弁護士から、倉橋の事務所に電話が入った。その声は年齢に相応しい明るい声だった。

 

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2009年11月02日

資産家のあなたは、狙われている(18)

不動産投資 成功の方程式 表紙本日、みなとみらいオフィスで会議。

 

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いやぁ、激務である。

昨日、大阪支社で個別相談5名。

せっかくだからと、結果を出す為に、一人ひとりの時間が、結構、長引いてしまい、またもや終電。

関西近辺の人たちに首都圏の不動産投資を説明するのに、エリアや相場などを説明するという行為に時間が掛かってしまうので、通常、1時間半の予定が2時間以上、どうしても掛かってしまうのである。

結局、最終の方は、わざわざ京都からきて頂いたので、時間は押してしまったが、方針が決まったので、結果的に良かったのだが、ほっとするのも束の間。

終電ぎりぎり。

大阪支社の吉住さんに新大阪まで特急でおくってもらい、ぎりぎりセーフ。

やばい!

明日は、名古屋で出版記念講演。

今日も、最終の打合せが午後10時頃に終わる予定だから、帰宅は深夜。

明日は早出で移動である。

 

全国縦断出版記念講演はこちら

 

しばらく掲載していなかった分のレポートをば。

では、行って来ます!

 

相続に付け込む、取り込み詐欺!(18)

「篠原先生、とにかく急がないと、保全手続き自体ができなくなっちゃうんじゃない」倉橋は早速、篠原弁護士に状況を説明して、事務手続きの速度を速めるように促した。「信託物件といえども、仮差押手続きとかなら、保全と同時に進行できるんじゃない」

 「ええ、それは多分、それは先生の言うとおりですが、そもそも保全手続きでも損害賠償請求を受ける恐れがあるのに、それはあまりにも危険な賭けになりませんでしょうか」篠原弁護士は、困惑した表情で倉橋に言った。「山田さんが抱えるリスクを考えると、弁護士としてそこまでは提案できません」

 「でもね、先生、現時点で裁判所が保全手続きに応じない状況なんだから、ポーズでも仮差押手続きをしてみれば、こちらの真意が伝わるかもしれないんじゃない」倉橋は裁判所が、本件の申し立ての内容について、あまりにも現実味のない事実であるため、担当者が責任回避の為に裁判のテーブルにのせないのではないかと踏んでいた。「多分、すでに抵当権がつけられているから、仮差押手続きを行っても受理される保証はないけど、こちらは、それくらいリスクを背負っても、事実関係を明らかにしようとしているという印象は裁判所に与えられると思うよ」

 「そこまでおっしゃるなら、先生のほうで、山田さんの相続人全部の承諾を得られるようにしてもらえませんか」篠原弁護士は自らの説得では難しいと判断したのか、倉橋に山田側の説得を依頼した。

 

 「それって、どのくらいのリスクがあるんですか」山田は、電話の向こうで倉橋に、率直に意見を求めた。

 「正直、見当がつかない」倉橋も、忌憚ない意見を山田に伝えた。「どうも、5億円近い価格で売り抜こうという意図があるようだから、相手方は、仮差押が成立した時点で売買ができなくなり、2割程度の損害金、つまり1億円くらいのことは言うかもしれません」

 「え、でも、先生、そんなお金、うちにはありません」山田は、気弱に言った。

 「仮に、相手方が損害賠償請求の事件を起こしたところで、こちらは、今度、受けて立つ側だから、今回の事実関係をちゃんと説明できれば、裁判では相手方の過失なども考慮される可能性はあると思うけどね」

 「では、逆に、この手続きを行わないことによって、想定されるリスクってどのようなことですか」山田は、心配そうな、か細い声で言った。

 「裁判所が本件を裁判のテーブルに乗せないまま、土地は転売されてしまう可能性があります」倉橋は、既存の裁判制度の問題を歯がゆい思いで事実を伝えた。

 法律は、無知を救わない。知らないことがリスクであり、今回のような詐欺事件は、世論も手を差し延べてはくれない。

 「このまま泣き寝入りでは、父も浮かばれません」山田は、肩を落としながら倉橋に言った。「もう、財産らしい財産もないに等しいわけですから、最後は破産覚悟です。先生、できる努力をしてください」

 「そうですよね」思ったとおりの山田の反応に、ちょっと安心しながら倉橋は答えた。「司法だって、事実がわかれば理解してくれると思いますよ。とにかく、いまは、保全手続きに専念しましょう」

 正直、倉橋も不安であった。権藤の会社や中岡不動産なら直接の相手方だが、彼らから先となれば第三者であり、仮差押手続きなどを行って、その第三者が被害を蒙れば、山田までとばっちりを受ける可能性が高い。この場合、今回の事件は不動産取引の額が大きい分、損害賠償も多額になってしまう。

 このような詐欺事件の場合、騙されるのは瞬間であるが、取り返すには、たいへんな労力とリスクを伴うものである。

 

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2009年09月04日

資産家のあなたは、狙われている(17)

本日は、遺言手続きの為、朝一で埼玉へ

 

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この「相続につけ込む、取り込み詐欺」は、他の事件なども含めて小冊子として編集した!

実は、先日、賃貸住宅フェアというイベント向けに2000冊印刷したのだが、全部、捌けてしまい、やっと増刷ができた。

今回、これを記念し、6冊セットにして4800円の所、2000円(送料込み)でお送りする。

ご希望の方は、0120−177−213 セミナー事業部まで

 

さて、本当に最近は、相続対策の仕事が増えてきた。ありがたいことである。

実際、いろいろと相談に行った所で、では、具体的に何をすればよいか、ということになれば、やはり不動産を動かすしかないし、今回のように遺言の手続きなど、実務面で具体的な判断を要することになれば、結局、当社の出番となってしまう。

相続関係でお悩みの方は、ぜひ、一度、個別相談にいらしてください。

全部、解決できると思います!

相続対策の個別相談のお申込みも 0120−177−213 まで

その他の業務についてはこちら

 

また、9月6日には、久しぶりの東京物件購入会を行う。

都心部で、ワンルームマンション投資などにご興味のある方は、ぜひ、この機会にご参加ください!

詳細はこちら

 

" target="_top">相続対策チャンネル

 

相続に付け込む、取り込み詐欺!(17)

「先生、権藤の会社、破産の申し立てをしました」数日たって、篠原弁護士から倉橋に、思わぬ電話が入った。「破産管財人からの通知では、とてつもない数の債権者です。これ、先生が言うとおり、計画的な事件だったんですね」

 当初考えていたとおりのシナリオであったから、倉橋も小林も動揺はしなかったが、あまりにも早すぎた時期に、頭の中でスケジュールの時間的余裕を探った。

 「ただ、1つだけ、読めないことが起こりそうです」電話の向こうの篠原弁護士は、少し慌てた口調で言った。「実は、権藤も、末期癌だそうです。余命、幾許もないようです」

 

 先が読みきれない紛争の行方に、暫く、沈黙が続いた。

 

 「篠原先生、ちょっとスピードを上げないと、全部売られてしまって、1円も返ってこない事態もありえるよね」倉橋は、篠原弁護士と電話で話した。「権藤の会社が破産してしまった訳だから、後は、中岡不動産からの転売を阻止しないと、まずいでしょ」

 「ええ、それは分かっているんですが、山田さんのお父さんが亡くなったことで新たな書類が必要になりますし、第一、裁判所は、リスクを考慮しているのか、相変わらず対応が消極的なんです」ちょっと気弱そうな声で、篠原弁護士は言った。「権藤の破産管財人とも、いろいろ事情を話させてもらい、協力も取り付けたりして、調査は進めています。その中で驚いたことは、やはり同様な手口で騙された人も数人いるようです」

 「やっぱりな。この事件、裏で糸を引いてる奴がいるだろうな」倉橋は、権藤の会社のように資本力があるわけでもない会社で、かつ権藤自身が末期癌。もちろんこの事件や、他の事件を引き起こした後に癌に蝕まれたのかもしれないが、かような環境で複数の人を騙すだけの情報を入手することはできないだろうし、騙し取った金は少なくとも数10億円になる。この金を使い切るような事業などしていないし、破産したときの財産は、ほとんどないに等しいことを考えれば、誰かが裏で糸を引き、権藤自身は、単なる雇われ詐欺師だったに違いないと考えるのが普通である。「どこかに騙し取ったお金を隠しているんだろうけど、見つけるのは難しいだろうな」

 「私も同感です」篠原弁護士は言った。「日本の司法制度と法律の限界です」

 先にも書いたが、今回のような事件は刑事事件で立件しても、あまり取り上げられることがない。本来であれば、警察と連携して民事裁判が同時並行して行えれば、かような詐欺集団の検挙は可能となり、併せて隠匿された資金を差押さえて回収し、被害額を縮小することができる。ところが、警察は「民事不介入」を理由に、被害者や裁判所と協力して事件解決を図ってくれることは、まず、ない。従って、詐欺師たちは捕まったところで量刑が軽く、検挙されるリスクも低いから商売として成り立ってしまうのだ。そんな背景から、不動産や利権に絡む大型詐欺事件は、増加する傾向にあるのである。

 「いずれにしても、手続きを急ぎましょう」倉橋は大局的なことより、目先の手続きが遅れることのリスクを感じた。

 その後、篠原弁護士は、度重なる裁判所との打ち合わせを進めてはいたものの、この事件の特異性と被害額が甚大なこと、また、仮に保全手続きを行うことで、現在、山田の不動産を購入したことになっている中岡不動産が蒙る損害を考慮すると、その判断の責任の重さから、慎重な姿勢にならざるをえない。結局、裁判手続きは、遅々として進まなかった。

 「社長、ちょっとこれ、見てください」倉橋の秘書、小林が、血相をかえて登記事項証明書を持ってきた。「気になっていたので、インターネットで調べてみたんですが、中岡不動産、信託登記を行っていますよ」

 「ファンドに売るつもりなんだろうな」

当時、外資系のファンドが日本の不動産を買い漁っていた。欧米で低所得者向け住宅ローン、いわゆる「サブプライムローン」の証券化で稼ぎまくっていた外資系投資銀行は、その資金運用の仕組みを日本にも導入して、不動産の証券化を進めていた。

「いずれにしても、相手は動きを早めている。急がないとな」

 

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2009年09月03日

資産家のあなたは、狙われている(16)

本日も、歯科にて大工事!

 

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一昨日、昨日と、新書の原稿の追加分、倉橋レポートと書き上げ、本日は、またもや歯科に大工事に来ている。

これ、始めると延々とやり続けなければならないようで、しばらく続けなければならない。

かなり昔に治療した歯の根の治療が中心だが、もっと前から少しずつやっておけばよかったのかもしれないと後悔している。

あ、時間だ。では・・・・・・。

 

相続に付け込む、取り込み詐欺!(16)

相続税が課せられる国民の8%程度の資産家と呼ばれている、かような立場の人たちは、自らを救済してくれる機関などなく、今回のように騙されたら最後、結局、取り返しはつかないことを充分認識して、自己防衛策を見出しておかなければならない。

倉橋が経営する不動産コンサルタント会社「CFネッツ」では、かような現状から、資産家や、不動産投資などを始めたサラリーマンなども含めて会員組織として運営している。これは、倉橋の会社で管理運営している不動産のオーナーの会で、本人は勿論、親戚、知人に至るまで、無料の相談を受けることができる仕組みになっている。そんな関係で、日々、倉橋の会社には、多くの相談が持ち込まれることになる。

「昔買った遠方の土地を造成したら高く販売できるからやらないか」と業者から電話が掛かってきたがどうしたらよいかとか、なかには「お金に困っているので、15万円相当の植木を、3万円払えば後日に届ける」と造園屋さんみたいなひとが来ているがどうしたらよいかとか、普通の人には理解できかねる相談が持ち込まれる訳だが、これらの殆どが、少なからず詐欺的な話である。

今回の事件に近い話も、実は、以前に相談にのったこともあった。そのような場合、「うちには、顧問の不動産コンサルタントがついているので、そちらに電話してください」といって、倉橋の会社に電話を回してもらうようにしているのだが、ほとんど連絡などくることはない。また、「相続対策になるから、新築分譲のワンルームマンションを買わないか」とか、「アパートを建てないか」と言う話も多いが、呼んで話を聞いてみると、概ね収支計画が出鱈目であったり、根拠が見出せないものが多かったりする。中には「借金すれば相続税が下がるじゃないですか」などと、抱腹に値することを平気で言ったりするものまでいる。倉橋の会社の顧客は、果たして常日頃、このような対処で詐欺に遭遇する確立は低いから良いが、日常的に、確実に不動産に関するトラブルは増え続けており、山田の父のように詐欺に直面してしまう人々は後を絶つことがない。

 

「山田さん、かなり落ち込んでいるようでしたね」山田の父の葬儀の帰り道、倉橋をバックシートに乗せた乗用車を運転しながら、小林が言った。「僕も、山田さんの立場だったら落ち込むかもしれませんね。ま、財産がないから、狙われることはないかもしれませんけど」

「今回の件を決着つけて、詐欺られた土地の分、取り戻すしかないな」倉橋は、今回の件で山田の父が失った資産総額を取り戻すことを考えていた。

今回の件で山田は、ほとんど全ての土地に抵当権をつけられ、気がつかずに手続きを怠っていれば、さらに追加担保で土地を取られ、全財産を失うところだった。幸いなのは、銀行が担保として嫌う、古い貸家や権利関係が複雑な土地、そして都市計画道路で収用された土地の残地等が残っているから、これらを整備して価値を高め、不動産価格が低迷している時期に、首都圏の収益物件をレバレッジをかけて購入しておけば、ある程度の取り返しはつくものである。

「起きちゃったことは、取り返しはつかないけど、将来は変えられるからな」倉橋は、小林に言った。「突き詰めると、過去って本当は変えられるんだよ。だってな、いまを変えれば明日は確実に変わる。明日になれば、いまは過去。嫌なことは忘れて、いまを変える努力をすれば、嫌な過去など、なんてことはなくなるもんだ」

「社長、ラーメン食べません?」小林は唐突に言った。「そこに美味しいラーメン屋があるんですよ」

「お前って本当に幸せだよな」こういう奴のほうが精神的なダメージって受けないんだろうなと、妙な関心をしながら喪服のままラーメン屋に入り、豚骨ラーメンを食べた。

 

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2009年08月29日

資産家のあなたは、狙われている(15)

いま、羽田空港にいます!

 

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本日、富山にて講演。明日は、個別相談。

そして、明日は、ダイヤモンドユカイさんのライブを城ヶ島 遊ヶ崎リゾートで行う為、夕方に戻って合流する。

富山へは、もう、何度も行っているわけだが、飛行機で行くと、本当に近い。

本当なら、本日はおいしいものでも食べて、のんびりしたいところだが、げ、原稿が・・・・・。

では。

 

相続に付け込む、取り込み詐欺!(15)

「では、山田さんが陳述書を書く理由から行きましょう」篠原弁護士はパソコンに向かい、5枚あるモニターをそれぞれ、倉橋、小林、山田に向け、書き込んでいる内容が分かり易いように言葉を発しながら、すばやくパソコンのキーワードを叩き出した。「私は、今回の事件当事者の山田の長男です。父から本件の話を聞いて驚いており、詳細について調べました事実を本書で述べたいと思います。こんな書き出しで、よろしいでしょうか」

 「良いんじゃない」倉橋は、山田に確認するように言った。「事件の内容に入る前に、現在山田さんのお父さんが入院している背景を書いて、だから私が代弁して書いている、という体裁のほうが良いと思いますよ」

 「そうですね。では、現在、父は入院中の為、私が父に代わって、父から聞いたこの事件の経緯を述べたいと思います」こんな感じですか、というふうに倉橋と山田に篠原弁護士は同意を求めた。

 「そうだね、そこは病名と病院名なども記載したほうがリアルになるね」倉橋は篠原弁護士に指示をしながら「山田さんのお父さんって、心筋梗塞でしたっけ」

 「いいえ、実は、末期癌なんです」山田は、今まで話さなかった事実を告げた。「もちろん、父には伝えていません」

 それを聞いた篠原弁護士をはじめ、倉橋、小林は、深夜の弁護士事務所で、この事件の解決を早めなければと、セントラルヒーティングの暖房機が切れて薄寒いのに、何とも知れず、背中に汗が流れるのを感じた。

 

 「先生、残念ですが、本日、父が亡くなりました」債権保全の手続きを進めていたときに、山田から泣きながら倉橋に電話が入った。

 山田に父は、亡くなる前に病床で「迷惑をかけたが、後は頼む」と言って亡くなったそうだ。

 「山田さん、気を落とさないで、しっかりやっていきましょう」倉橋から出た言葉はこれだけだった。なんと言って励ましたらよいのか、正直、思い当たらなかった。

 度重なった詐欺事件の被害者である善良な山田の父が、何も不当なことを行っていないのに、金銭的に追い詰められて亡くなってしまった。法的に救済されず、税務的にも追及を免れられず、資金難に苦しんで亡くなられた胸中は、山田の父でなければ分からないが、倉橋は、複数のかような事件を目の当たりにしており、今回も複雑な、そして空虚な気持ちの流れを感じて、山田に向ける言葉が見当たらなかった。

 

不動産に関する詐欺の被害者は、巷で流行った「振り込め詐欺」の比ではないくらいの額が騙し取られているように思う。「振り込め詐欺」の場合、被害件数が多いこと、金融機関が絡んでいること、被害者は社会的弱者の高齢者が多いこと、そして事件が分かりやすくて検挙しやすいことなどで救済されることがある。一方、今回のような事件は、被害額はとてつもなく多大にも拘らず、被害件数は少なく、金融機関等が絡まず、被害者は高齢者ではあるが、裕福と評価されがちな地主。そして事件は複雑であるし、詐欺と言う立証が難しいから、結局、警察も動かないし、裁判所も動きにくい。併せて金融機関に被害がないから、救済措置など行われる可能性は少ない。

 

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2009年08月28日

資産家のあなたは、狙われている(14)

とりあえず、朝日新書の校正を終え、追加文書の執筆と倉橋レポートを書いている。

 

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本日、私の都合で平日ではあるが「個別相談」が多数入っており、それが20時まで続く。

明日は、富山で講演、明後日は富山で個別相談。

しばらくは、バタバタとした毎日が続く。

あ、先ほど、朝礼講話を動画化していますので、後ほど、アップしますので、お楽しみに!

では・・・・・。

 

相続に付け込む、取り込み詐欺!(14)

この打合せの翌日、まずは弁護士の連名で権藤の会社と中岡不動産に対し、土地売買契約の解除通知を内容証明郵便で送付することにした。

 

「やはり、裁判所は、消極的ですね」1日置いて、篠原弁護士から倉橋に連絡が入った。「この事件は、かなり異例で、裁判官自体が不可思議に思っているようです。」

 「そりゃぁ詐欺事件って、全部が不可思議っていうものじゃないの」倉橋は、裁判所の判断は想定内の結論だと思った。「そこは先生が、よく説明してもらわないと」

 今回の所有権移転禁止の仮処分を裁判所が認めて、仮に命令が出てしまえば、相手方が善意の第三者だった場合、相手方は、とてつもない損害が発生してしまう。従って、裁判所としてみれば、今回のように疑わしい詐欺事件など取り扱いたがらないのが普通だ。

 「とりあえず裁判官面談の期日を入れましたので、その時に詳細な説明しようと思います」ちょっと弱気な篠原弁護士は、倉橋の指示を待つように言った。「来週の月曜日にアポイントが取れました」

 「これ、詳細を説明するには、陳述書などにして渡せたほうが良くないですか」倉橋は経験則上、裁判所の体質的に考えれば、文書で分かり易くまとめて提出しておいたほうが有利であることを知っていた。「べつに篠原先生を疑うわけじゃないから、気を悪くしないでね。裁判官って多くの裁判やってるから、そのときは覚えていても、後で忘れることが多いから記録にしておいたほうがよいと思うよ」

 「なるほど。倉橋さんと話していると、どっちが弁護士か分かりませんね」若い篠原弁護士は素直に倉橋の方針に従った。「金曜日の夜に山田さんにも来て頂いて、詳細をつめ、土日に私のほうで仕上げるようにしますが、そんな段取りでよろしいですか」

 「篠原さんも立山弁護士に似て、休まないね」倉橋は、立山弁護士の若い頃を思い出し、笑いながら言った。「弁護士も、我々コンサルタントの仕事も、経験の数以上の価値はないからね。若いうちに多くの経験を積むには、時間を惜しまず仕事をするに限る。今回の事件は、結構、先生も自信がつく争いになると思うよ」

 「では、金曜日の午後10時からの打ち合わせで大丈夫ですか」

 

 昔は立山弁護士と、この時間くらいから朝方まで打ち合わせをしたこともあったが、まさか篠原まで同様な仕事ぶりとは思わなかった。倉橋も小林も、そして山田にも事情を説明して立山弁護士の事務所に集まることにした。

 「本当は、山田さんのお父さんに書いてもらうと良いんですが、現在、入院中ということですので、山田さんに事情の説明を頂いて、私のほうで書類に仕上げて提出します」篠原が、山田に説明した。「よろしいですか」

 「はい、お任せします」一流企業に勤める山田は、よくもまあこんな時間から会議などするものだとあきれた様子であったが、覚悟を決めて参加してくれた。「文書の体裁は、先生のほうでお願いします」

 「では、行きます。まずは、今回の事件の経緯をまとめましょう」篠原が作成の段取りを伝えた。

 「ちょっと待って」倉橋は、すかさず篠原弁護士を制止した。「この事件の場合、何でこんな話に乗ってしまったかの心象を書かないと、裁判官は協力してくれないと思うよ。前の詐欺事件で売却した土地の譲渡税を払うことが出来なかったという所から説明しないとリアルな陳述書が作れないと思いますよ」

 裁判が始まり、裁判所に提出する陳述書や準備書面の類は裁判官が目を通す前に裁判の進行を行ったり、準備などを行う書記官らが目を通すことになっている。従ってこの書記官らの心象が裁判官に伝わり、裁判の流れが決まってくることから、裁判所に提出する書類などは、よりリアルに、そして説得力のある文書で書き込む必要がある。これによって、裁判の流れが大きく変わってくるものだ。

 「なるほど、倉橋先生の作戦は、弁護士としても参考になります」若い篠原弁護士は、このときから倉橋のことを先生と呼ぶようになった。「しかし、今日、全部作ろうとすれば、朝までかかるかもしれません。もちろん私は構いませんが、大丈夫ですか」

 「ここは慎重に準備をする必要がありますから、気を抜かずに、また、時間も気にせずにいきましょう」倉橋は、小林、山田に目配せをして言った。

 

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2009年08月26日

資産家のあなたは、狙われている(13)

昨日、賃貸トラブル解決セミナー、丸一日、講演!


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合計、約6時間の実務者セミナーだったが、久しぶりの賃貸トラブル関係のセミナーだったので、結構、自分自身が楽しめた。
私の著書「賃貸トラブル110番」が、現在、絶版になっており、合わせてオークションでも新刊の10倍以上の価格がついている関係で、意外に人気の高いセミナーとなっている。
昨日は、当社の新任者やマネージャーの熊切なども参加し、懇親会も盛り上がった!
今回も、全国から参加していただき、感謝している。


相続に付け込む、取り込み詐欺!(13)

「中岡不動産、この土地を担保に、4億円近い抵当権をつけて2社から借り入れをしていることになっている」登記簿謄本の乙区欄、甲区欄をめくりながら倉橋は青ざめた。 

「おまけに信託登記をした上で、さらに第三者に、所有権移転の仮登記まで済ましているじゃない。」立山弁護士も事情を飲み込んで沈黙した。「こいつら、プロだな」

 「それって、どういうことなんでしょうか」山田はその異常さを読み取り、不安そうに言った。「すでに、遅かった、ということですか」

 「ま、山田さん、さっき、腹を括って貰ったんだから、やるしかないね」立山弁護士は倉橋と目を合わせて、苦笑いしながら言った。

 本件は、権藤の会社と中岡不動産が共同で特別有料老人ホームの許認可の申請を行っており、権藤の会社では、許認可の申請すらできない状況であったものを、共同申請人である中岡不動産が主体的に行っているようであった。従って、山田側から見て中岡不動産は、権藤の会社から所有権の移転を受けていたにしても第三者ではなく、当事者の一方であるとの主張で戦うつもりでいたのだが、実質的には、さらに第三者に転売されようとしている事実がわかった。おまけに、過大な抵当権をつけて、すでに借り入れという形で資金移動は済んでおり、仮に山田が売買契約の無効を主張し、その土地の返還請求が認められたにしても、この借入金を権藤の会社か中岡不動産が返済しない限り、この抵当権の抹消は出来ず、債務不履行が生じれば競売にかけられてしまうのだ。結局、山田側が勝訴したところで、何のメリットもない状態なのである。

ことの事態は、緊急性を要する訳だが、反面、我々が行おうとしている保全手続きによってこの土地を購入した第三者や貸金業者が蒙る損害額は甚大であり、万一、こちらの主張が通らなければ、その損害は、山田に対して請求されうる可能性が高くなってしまったことを意味する。また、そもそも裁判所で、この第三者らが蒙る損害と、山田の父が騙された経緯の過失を比較して、保全手続きを認めないという判断も、充分、ありうることになる。

 「山田さん、これを知ったところで後には引けないじゃないですか」倉橋は、山田に言った。「これで彼らの意図はわかった訳ですから、戦うしかないですよ」

 この事件では権藤らの行っていた特別有料老人ホームの許認可など、山田の父を騙す為の道具だったに過ぎない。彼らの目的は最初から山田の父を騙し、この土地を転売し、その代金を詐取する目的だったのである。さらに詐欺の手口は巧妙で、転売が遅れようとも、詐欺による利益を確保するために、借入金という形で資金回収を早めていた。騙された山田の父が、この土地の転売先の第三者に対抗できず、さらに抵当権者にも対抗できない法律を活用した、巧妙な詐欺の手口だった訳である。

 「きっと権藤の会社は、最後には倒産か破産して、債務の支払いを免れる手口ですよ」倉橋は、言った。「最初からこの権藤の会社なんて、詐欺のために存在している会社でしょう」

 世の中には、権藤の会社のように詐欺を目的として会社を設立しているケースは多い。多くの詐欺事件では、必ず「儲かる」話が先行し、その話はいかにも信憑性があるように誤認させる手口が潜んでいる。

よく手品などで使われる方法で、左手に隠しているコインに目を向けさせないように右手で何かを行い、そこに相手の意識を集中させる方法がある。詐欺の手口は、かようなマジックに似ており、今回のケースでは権藤の会社の実態や信用性などに意識を向けない為に、いかにもありそうな儲け話を作りこんでいた。特別有料老人ホームの許認可に価値があり、許認可があれば1億円以上、土地が高く売れるという幻想を植え付ける。そして山田の父の意識を許認可の申請に目を向けさせ、詐欺の実態に気付かないように誠心誠意仕事をしているふりをして時間を稼いでいる。その間、この土地を有利に転売し、利益の最大化を図るという手口である。

また併せて、山田の父が早期に詐欺行為に気付くことの保険として、この土地の評価額いっぱいの抵当権をつけて借り入れを起こし、先に資金回収を図り、その借り入れた金銭は何処かに移動して隠してしまう。そして被害者の山田の父が気付いたときには、適当な理由をつけて、申し訳ないことをしたが、既にお金はないから返せないといって逃げてしまうという結末が待っているだけである。

 今回のケースなどは、最初に所有権の移転をするという話なのだから、まずは権藤の会社の業務内容、規模や信用力、資産の背景などを契約前に調べていれば、こんなことにはなっていなかったし、そもそも専門家などに相談していれば今回のようなあり得ない話に乗ることはなかった筈だ。

ただ実際には、詐欺で騙される当事者というものは、いろいろな欲目、目論見に振れて、あり得ない話に乗ってしまうものなのである。

山田の父の場合は相続税納税のために、一度、土地売買で詐欺にあってしまい、その損失を取り返そうと、今回の話に乗ってしまったわけだが、詐欺のケースにおいては、かような損失の取り戻し的な心理状態のときに陥りやすい。

 ここで特筆しておきたいのは、詐欺事件の場合、刑事事件で取り扱ってくれる可能性は、極めて低い、ということである。世の中には、多くの詐欺事件が存在しているが、加害者が検挙されて裁かれるほうが稀なのだ。

テレビなどで騒がれている事件などは被害者が多大であり、社会的に容認できないものだけが検挙されている訳で、今回のようないかにも個人的事情で騙され、その被害額が多大であっても「それって、儲けようと思って騙されたんでしょう」という言葉で済まされ、警察も、裁判所も、真剣に取り扱ってくれない。また仮に加害者が捕まった所で詐欺事件の量刑は軽く、すぐに刑期を終えて社会に復帰してしまうから、世の中の詐欺事件は減ることがない。

 むしろ詐欺師は、手を変え、品を変え、社会に餌食を探して、浮浪しているのだ。

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2009年08月24日

資産家のあなたは、狙われている(12)

昨日、相続関係の個別相談。

 

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お陰さまで、相続対策の個別相談が増えてきている。

現在、個別相談が具現化したときには、プロジェクトを組んで対応しているわけだが、相続対策の場合、毎年、毎年の計画決定が必要なわけで、いろいろ相談しながら解決してゆくしかない。

一昨日は、底地&借地の解決セミナーを行ったわけだが、こちらも、結果として相続対策が絡むことが多い。

失敗しない相続対策。これも、結局、我々プロが介在しなければ解決できない。

本日、みなとみらいオフィスで会議の後、会議と出版校正が続き、明日は、賃貸トラブル処理セミナーを行う。

いやぁ、殺人的な忙しさが続く。

あ、そういえば、プラチナ会員、ゴールド会員の皆さんへ。

30日に、会員限定の「ダイヤモンドユカイ 城ヶ島 遊ヶ崎リゾート プライベートライブ」を行うことになっている。

間もなく、締め切りになり、参加人数が限られていますので、ご希望の方は 0120−177−213 セミナー事業部まで、お申込ください!

では。

 

相続に付け込む、取り込み詐欺!(12)

「これって、山田さん、リスクが覚悟できます?」その夜、午後9時をまわってから、倉橋、秘書の小林、そして山田と打ち合わせに出向いた立山法律事務所の立山弁護士は言った。「仮差押手続きなど、この権藤の会社が所有しているのであれば問題はないんだけどね」いつものように、弁護士とは思えない明るい態度で不安げな山田に説明した。「この権藤の会社が転売した相手方の会社が、本当に第三者だったら、山田さん、逆に訴えられる可能性あるけど、大丈夫?」

 「訴えられるって、どういうことですか」山田は、顔色を変えて言った。

 「損害賠償請求です」立山事務所の山川弁護士が立山の隣で解説した。「残念ですが、山田さんは、この第三者に対抗できない立場です」この山川弁護士は、実は秘書の小林の大学時代1学年先輩で、小林は司法試験の一次は受かったものの、二次試験で不合格となり、山川のほうは大学卒業後、しばらくして司法試験をパスしており、偶然、この事件がきっかけで小林と山川は再会することになった。「つまり、この第三者の会社に損害が生じた場合、その損害の賠償を、山田さんに請求する権利が生じてしまうと言うことです」

 「そんな、理不尽な」山田は、焦った表情で山川に言った。「騙されたのは、うちの方なんですよ」

 「まあまあ、山川先生。法律的なことは、一般の人には理解しきれないですよ」倉橋が、間に入るように言った。

法律とは、無知なものを救わない。

いわゆる知らないほうが損をする世界であり、特に、今回のような詐欺事件の場合、騙された人は非常に不利にならざるを得ないのである。

「先生、それは承知の上です。山田さんに、これから細かな法律を勉強してもらおうとは思っていません。その第三者の会社は、どうも権藤と繋がりがあり、第三者であるとは言い切れない会社ですから、然程、心配はないと思います」

 倉橋は、権藤の会社が開発許可の申請をする際、第三者の会社、中岡不動産と連名で申請を行っている書面を立山弁護士に示して説明した。

 「倉橋さん、共同で開発許可申請を出しているからって、第三者でない証明にはならないと思うんだけど」立山特有の口調で怪訝な顔で言った。

 「いや、先生。実は、この中岡不動産を良く知っているひとから事情は聞いておきました」倉橋は全国で講演活動を行っており、宅地建物取引業協会の実務研修や宅地建物取引主任者の免許更新の講演なども引き受けていたから不動産業者とのパイプは太い。立山の事務所に来るまでの間、あちこちに連絡を取って、必要と思える情報は、荒削りではあるが入手していた。「この中岡不動産って、業務実態は殆どなく、どうも反社会勢力の手下のような仕事をこなしているようです」

「え、そうすると、今回の裁判って、危険ですか」山田が怯えるように言った。

「いや、むしろ裁判で決着をつけたほうが、安全です」倉橋は落ち着き払った口調で、山田を宥めるように言った。「彼らは、さすがに裁判所に乗り込んでくることはないし、この民事事件で組織を動かせばどうなるかは、彼らが1番知っていることなんですよ」

 「倉橋社長が、そう考えるのであれば、ま、あとは山田さんの意向ですね」山川弁護士は、事務的な口調で言った。「あとは経済的な問題として、保証金の額でしょうね」

 「そこは、裁判所との交渉だろうな」倉橋は、立山弁護士の顔を見て、笑いながら言った。「あとは、先生の交渉力ってことじゃない?」

 「ん〜、そうくると思った」立山は、快活に笑いながら「やってみるしかないけど、債権額が多額だから、保証金も多額になると思うよ」と言った。

 本件のような緊急性を要する債権を保全するには、債権仮差押命令の申し立てを行うことになる。このような場合は、仮に、相手方に非がないのに債権を差し押さえられてしまえば、今度は相手方に損害が生じてしまうことになるから、裁判所は、いわゆる「踏み絵」のように申立人から保証金と称して、後日、争いになった時の損害の保全を行うことになっている。

 「とりあえず、仮差押命令の申し立てだけ、至急、行ってください」倉橋は、立山弁護士に伝えた。「保証金などについては、山田さん側のできる範囲で検討してもらえば良いことです。場合によっては、債権額を減額して調整をとれば良いんじゃないですか」

 「ま、そうだよね」あっさりと立山弁護士が言うと、山川弁護士、そして山川弁護士の部下である篠原弁護士に指示を与えだした。「篠原君が本件の窓口で取り纏めをしてください」

 「立山先生、それは駄目です」倉橋は、率直に苦情を言った。「本件は、私自身が動くことを約束して受任しています。今回のケースは、普通の裁判ではない可能性がありますから、立山先生自ら動いて頂きたい」

 「はいはい、倉橋さんが付いて来ている段階で覚悟はしていますよ」立山は、笑いながら言った。「私と倉橋さんが考えをまとめる。うちは山川、篠原で事務を行い、倉橋さんのほうは小林君が山田さんとの事務的な連絡を行う。こんなんで、どう」

 「それなら結構です。この事件、どうも嫌な予感がするんです」倉橋は、今回のような組織的な詐欺事件のシナリオについて、単純なものではないと考えていた。バックが大きければ大きいほど尻尾はつかめない。我々、刑事ではないから、別に事件の白黒をつける必要などないが、同様の手口で全財産を失っているひとの相談にものっていたが、結局、取り返しの付かない結果になっても、相手は、なんら懐が痛まない仕組みが出来上がっているケースが多いのだ。「小林君、さっき頼んでおいた登記簿謄本、入手、できた?」

 「あ、はい」あまり整理されているとは思えない分厚い鞄から、4枚の登記簿謄本を取り出し「さっき、出掛けにパソコンで取っておきました」と、立山弁護士と倉橋の間に置いた。

 その乙区欄、つまり抵当権等の記載がなされている部分をみて、2人とも目を見合わせた。

 倉橋も、立山も、そして弁護士全員、本事件の特異性を読み取り、ぞっとした。

 

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2009年08月21日

資産家のあなたは、狙われている(11)

倉橋写真相続対策&相続で失敗しない為に!

 

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明日、借地&底地解決と相続対策の無料セミナーを行います!

久しぶりに横浜のみなとみらいオフィスでの無料講演(今回はDVD撮影の為)ですので、お時間のある方は、ぜひ、ご予約の上、ご来場ください!

相続に付け込む、取り込み詐欺!(11)

この話を倉橋が聞いたのは、山本からの紹介で、山田が港南台にある倉橋が経営する不動産会社CFネッツの横浜本部にきたときだった。

 「これ、正直言って、詐欺じゃないかと思いますよ」倉橋は山田の話を聞いて、直感的に思った。「山本君から概ね内容は聞いていますが、これは、山本君がいうとおり、この第三者に移転するのはおかしいですよ。ま、最初の許認可をとる目的として所有権を移転してしまうと言うのも、はっきりいって、乱暴で、おかしい行動ですけどね」

 「で、僕は、具体的にどうしたら良いんですか」か細い声で、山田は言った。「不動産のことは、はっきり言って無知なんです」

 「この話は、最初の秋山とか言うハウスメーカーの社員のときからおかしい話です」倉橋は、以前、相談にのったが、断念せざるを得なかった詐欺事件に酷似している部分を指摘した。「山田さんのお父さんのような話を、以前、相談にのったことがあります。ネットワーク詐欺とでもいうのか、相続税の納税で困っている人の情報って、どこかで流れるようで、タイミングよく相続関係の相談相手が現れ、うまい話を持ちかけられる。そこで一度、詐欺に引っかかると、タイミングよく次々にいろいろな人が現れ、うまい話を持ちかけられることになる。騙される側は、その都度、損した金額を取り戻そうと、今度こそはと、そのうまい話に乗ってしまい、結果的に全財産をとられてしまうというのが、この手の詐欺集団の常套手段のようです」

 「え、うちの父も、その詐欺集団の餌食と言うことですか」山田は、顔色を変えて、事件の重大性を感じ取った。「うちも、全部、取られてしまうんですか」

 「でも以前の方は、全財産を第三者に譲渡されてしまって、かなりの時間がたってしまい、取り返しがつかない状態でしたが、山田さんのところは全財産までは行ってないし、今回の件は裁判で争って、多少、取り返すこともできるかもしれない」

 「これって、危ないところだったんですね」明らかに、山田は落胆した。

 「山田さん、山田さんは、長男ですよね」倉橋は、うな垂れている山田に言った。

「この山田家の土地については、将来、山田さんが相続するわけだから、まずは、所有する不動産に興味をもたなきゃ駄目ですよ」

 「父は、僕に、家のことは何も教えてくれないし、聞いた所で、今の仕事が忙しいから動くこともできない」少し俯き加減で自信がなさそうに言った。「今回のことだって、成り行きは分かりましたが、結局、何もできないで、ここに来たわけですから」

 「そりゃ、そうかもしれないね。しかし、これも、山田さんが、かつて興味をもっていなかったから、今回のような事件に巻き込まれてしまうわけで、以前から興味があれば、多少、勉強なんかもしてたでしょ」倉橋は、ちょっと歯切れの悪い山田に言った。「山田さんは、この山田家に生まれたんだから、それは宿命。不動産は、事業と思って取り組まなきゃ駄目なんですよ」

 「事業ですか」きょとんとした目で、倉橋を見た。

 「そう、事業。山田さんの家の財産は、まだいくらか知らないけど、それは、事業で言ったら、資本と一緒」倉橋は、セミナーで話しているとおりのことを山田に言って聞かせた。「例えば、資産が10億円あれば、資本金10億円の会社と一緒なのに、どうも山田さんのような土地持ちの人たちは理解が薄いんだよね。山田さん、若いんだから、今からしっかりやらなきゃ、駄目なんですよ」

 「そんなこと、思っても見ませんでした」事務所に来たときから暗かった山田が初めて倉橋を直視して笑った。「そうすると、将来、僕は社長ですか」

 「そう。詐欺集団に詐取された財産を取り戻さなきゃ駄目でしょ」そういうと倉橋は、山田にきっぱりと言った。「山田さんが本気でやる気なら手伝うけど、中途半端な気持ちでやるなら、私も忙しいから手伝わない。どうする」

 「先生が自ら手伝ってもらえるんですか」山田は、少し怪訝な顔で聞き返した。

 「私が手伝うって言ったら、私が直接手伝う」倉橋はきっぱりと言った。「もちろん秘書や弁護士も使うけどね」

 「しかし先生が直接動かれるというと、費用的には、かなり掛かるんじゃないですか」山田は、また不安そうな顔で倉橋に質問した。「先ほど、お話したとおり、いま、あまりお金がないんですが」

 「私は、お金のことは聞いていない。まずは、山田さんが、やる気があるかどうかを聞いているんです」

「は、はい。先生が手伝ってくれるなら、やりたいと思います」

 「じゃぁ、やりましょう」倉橋は、山田の見ている前で弁護士に電話をかけ、その日のアポイントを取った。「じゃぁ、午後9時でも構いません。急ぎの話なので、先生のほうも時間を取ってください」

 「今日の9時ですか」山田は、申し訳なさそうに倉橋の顔を見た。

 「山田さん、この件は山田さんが思っているほど、簡単な話じゃないし、時間をかければ、掛けるほど不利になる話です」倉橋は、真剣に言った。「正直、一刻を争う勝負が必要です。まずは、少なくとも、この権藤の会社から移転された第三者の会社を調べ、関連性があれば、取り急ぎ、次に転売されないような手段を講じることが必要です」

倉橋は、山田に法律的な構成を簡単に説明すると、付け加えた。「山田さんは、今から急いで家に帰って、今回の訴訟準備について、お父さんの承諾を取ってきてください」

 山田が帰った後、倉橋は山積みの仕事を仕分けし、打ち合わせに出かける準備をした。

 

 

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【筆者のプロフィール】
不動産売買のトップセールスマンとして活躍し、これまでの売買実績は軽く300億円を超える。また、日本人として初めて不動産管理士の国際ライセンスCPM(Certified Property Manager)を取得。さらには、世界的ベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバート・キヨサキ氏)が日本で発売される前に、著書「アッと驚く不動産投資」を執筆し、話題となる。

主な経歴
(株)CFネッツ 代表取締役

(株)月極倶楽部 代表取締役
(有)CFビルマネジメント 代表取締役
(有)不動産綜合研究所 取締役社長
JREM国際CPM協会 2002年度会長
(社)全国賃貸住宅経営協会 神奈川横浜南支部長
(社)全国賃貸住宅経営協会 神奈川連合会副会長

現在、グループ企業4社の代表取締役と取締役、そのほか公益法人の役職を務め、超多忙な仕事をこなしている。
また、実務的には、不動産投資から不動産全般の法律問題、相続対策、 建築コンサルティングや、不動産業者向けの経営コンサルティングやシステム開発にも定評があり、併せて住宅新報社の不動産コンサルタント養成講座、にじゅういち出版社の法務エキスパート養成講座等の専任講師、そのほかにもリクルート社や大手金融機関、全国宅地建物取引業協会全日本不動産協会、全国賃貸住宅経営協会、日本賃貸管理業協会などでは全国各地で経営者、および実務者向けの講演を行ない、わかりやすく楽しい解説にも定評がある。
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