CFネッツ代表「不動産投資成功の方程式」倉橋隆行のプロに学ぶアッと驚く不動産投資

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2005年05月

2005年05月31日

不動産コンサルタント始末記 12

8929163f.jpg第12話 差押

判決が出た後、早速、執行文の付与手続きを行い強制執行の手続きに入った。

滞納賃料の支払い請求、及び建物明渡請求による訴訟の場合、確定判決や仮執行宣言付判決をとったからといって、直ちに強制執行ができるものではない。
強制執行を求める場合、その判決に執行文の付与という手続きを行い、かつ、その判決の送達証明書を取得してから、その強制執行を行う不動産の所在地を管轄する地方裁判所の執行官室に強制執行の申立てを行わなければならない。

「いやぁ、びっくりしましたよ。」
廣瀬が強制執行手続きを行い、2週間ほどして吉田から電話が入った。
「役場にやくざみたいな口調で電話が入って、またサラ金からの電話だと勘違いしました。」
吉田は、執行官からの電話の印象を廣瀬に伝えた。

「だいたい執行官って、気短な人が多いんですよ。」廣瀬は笑いながら吉田に言った。
「ああじゃないと、務まんないのかもしれませんね。」
「再来週の水曜日、先生と廣瀬さんのご都合は如何ですか。」
吉田は、執行官から言われた日時で倉橋と廣瀬の都合を聞いた。
「執行官がすぐに電話をよこせって言うんです。」
「毎週水曜日は当社の定休日ですから、私は大丈夫です。たぶん倉橋も大丈夫でしょう。」廣瀬は、吉田に言った。

「それで予定を入れちゃってください。」
廣瀬は、倉橋の執筆業務が遅れており、その日、自宅書斎で執筆する予定を知っていた。
強制執行の前には、まず建物内の動産を差し押さえるのと同時に、建物明渡しの言渡しを行う。
その際、当事者、執行官、第三者が立会い、執行官が建物内部にある被告の家財を差し押さえ、差押動産の明細書と明渡命令を作成し、目の届く所に貼り付ける。
昔は差押が行われると通称赤紙といった差押札を貼り付けたようであるが、近年はプライバシーの侵害などの理由から差押動産を一覧表にして貼り付けるようになっている。
「廣瀬、秀栄さんに電話して。」廣瀬から差押期日の報告を受けると、また原稿が遅れるな、と思いながらも倉橋は差押の段取りを廣瀬に指示した。

「今回は強制執行断行の可能性が大きいから、交渉も含めて依頼しといてね。」秀栄とは、いわゆる道具屋と呼ばれる業者である。
建物明渡しの強制執行の場合、差し押さえた動産は自ら競落して処分してしまえばよいが、差し押さえのできない動産、いわゆる差押禁止動産の類は、一定の期間保管しなければならない。
それらの業務一切を仕切ってくれるのが、このいわゆる道具屋と呼ばれる業者なのである。
倉橋は関東圏内の強制執行には、いつもこの秀栄という業者を使っている。
というのは、こういった業者は、あまり一般的な業種ではないため利用者に信用がないとかなり高額な費用を請求される。
倉橋はこの業者とは長い付き合いであり、費用もかなり安く請け負ってくれるから依頼者に有利な取り計らいができる。
また道具屋も、自己経費を圧縮するため、保管家財等はなるべく処分できるよう差押日から強制執行当日までの間に被告(債務者)から放棄書という文書を取得するよう努力する。
詳細は不明であるが、多分、債務者と金銭解決により放棄書を取得するのだろう。
この放棄書があれば強制執行当日に保管荷物を処分することができるため、道具屋も依頼者もわずらわしい保管行為を回避することができる。
この辺のノウハウがある業者とない業者では、依頼者のストレスが大きく変わってくることになる。

「倉橋先生、いつもお世話になります。」
秀栄の社長、高橋が愛想よく挨拶をした。

「相変わらず、先生のところは強制執行が多いですね。」

「人聞きの悪いこといわないでよ。」吉田、廣瀬のいる物件の前で、倉橋は高橋に言った。
「これ、うちの管理物件じゃないないからね。」 
差押日の当日、4人は前田の自宅前で執行官を待っていた。
差押日の当日は、通常、原告、第三者、執行官の三者で立会いのもと差押を決行する。
その際、その物件内に立ち入れないと差押不調となるため、その部屋の鍵が必要となる。本件建物の鍵を吉田は持っていないため、別に鍵屋も呼んでいた。

「鍵は、ジェイファースト?」 倉橋は、廣瀬に確認した。

ジェイファーストは、倉橋の弟が経営するリフォーム業者であるが、倉橋の指示で何でもやるため重宝に使っている。

「あいつ、もう来てるの。」
「さっき、エントランスにいましたから、執行官と一緒に上がってくるんじゃないですか。」廣瀬が何だか楽しそうに答えた。

「それより、前田さん、中にいますかね。」
「いた場合、どうなるんですか。」 吉田は、廣瀬とは対照的に不安げに言った。
「差押は中止ですか。」
「中止なんて、あるもんか。」 高橋が吉田に言った。
「差押も強制執行も、執行官がついてりゃぁ債務者は関係ないんだ。先生がついてるから、安心しなよ。」 乱暴な口調で言った。
「噂をすれば何とかだぜ。執行官の登場だ。」
共用廊下からエントランスを見下ろしたところで、1台のタクシーから執行官が降りてくるのが見えた。
執行官は薄手のコートに帽子をかぶった格好で、ジェイファーストの倉橋が愛想よく出迎え、こちらに案内をしてくる様子が見えた。

「原告、吉田さんは、誰?」 我々一団と向かい合い、執行官は言った。
「はい、私が吉田です。」
「執行官の山田です。」執行官は電話口での口調と打って変わり、やさしい声で言った。
「あ、今回も高橋さんがやるのね。」
秀栄の高橋はほとんどの執行官とは顔なじみのようである。
「ま、それならスムーズにいきますね。」 執行官は時計を見た。
「9時10分。では、差押手続きを開始します。」
執行官の合図で、廣瀬がインターホンのスイッチを押した。

「前田さん、いらっしゃいますか。前田さぁん。」何度か声をかけたが、中からの反応はなかった。

「じゃあ、倉橋さん、鍵、壊してください。」ジェイファーストの倉橋に廣瀬が指示を出した。

「了解。」ジェイファーストの倉橋は、手際よく玄関扉の鍵を壊しだした。

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2005年05月29日

不動産コンサルタント始末記 11

700e71d0.jpg第11話 結審

「前田さん、廣瀬です。」インターホンを押しながら、廣瀬が言った。

「いらっしゃいますか。」
「はぁい。」
入居者の前田は、別に何もなかった様子でマンションの扉を開けた。
「こんにちは。」
「前田さん、こちら所有者の吉田さんです。」
廣瀬が前田に吉田を紹介した。
「はじめまして、吉田といいます。」
吉田は、丁寧な挨拶をした。
「あらぁ、お若い方ですのね。」
前田は、これから仕事に出かける所だったらしく、化粧が整い、胸の谷間が大きくはだけた服装をしていた。
「大家さんっていうと、もっと年老いた方かと思ってました。」
「今日、裁判だったのはご存知ですか。」倉橋は、前田に切り出した。
「裁判所には、いらっしゃいませんでしたよね。」
「はい、行っても仕方がないと思いましたし...。」
少し俯いた様子で前田が言った。
「娘の学校にも呼び出されましたので。」
マンションの扉の向こうには、髪の毛をまっ茶色に染めた高校生の娘がこちらを窺っていた。
「本日、裁判のほうは結審しました。」
倉橋は前田に対し、裁判の結果を報告した。
「つまり、来週早々、前田さんはここを出なさい、というような判決が言い渡されます。」
「やっぱり、そうでしょうね。家賃も払っていないんですから。」前田も、結果については承知していた様子だった。
「でも、家賃を払ったら住めるんでしょ。」
「残念ですが、こちらとしては、前田さんに明渡してもらうことを望んでいます。」
倉橋は丁寧に言った。
「前田さんも、過去に遡ってたまった賃料を支払うことは無理でしょう。」
「そこは何とかしますから、せめて娘が高校を卒業するまでは、ここに住ませて貰えませんか。」
前田は振り返って部屋の中にいる娘のほうをチラッと見て言った。
「もう、高校3年生なんです。」
「お気持ちはわかりますが、残念です。」倉橋は、きっぱりと言った。
「こちらとしても、前田さんに恨みはありませんが、方針は決めています。強制執行までは時間があります。お早めに転居先を決めて、お出になってください。」
淡々と話す倉橋に、取り付く島がないと判断したのか、前田は、廣瀬にお願いした。
「高校3年生といえば、大切な時期なんです。うちの子は進学はしないと思いますが、ようやく立ち直ってきた所なんです。」
「いやぁ、私に言われましても。」前田に迫られた廣瀬は、返す言葉に詰まったが
「うちの先生が方針を決めてますので、私が変える訳にはいきません。」と、倉橋の決定であることを告げ、見放すように言った。
話のやり取りの中で、どうも前田の娘は不良であり、ようやく最近になって改善されてきたというような印象をもった。
「もう分かったから帰れよぅ。」部屋の中から、娘が出てきて言った。
「お母さん、この人たちが駄目だって言ってるんだから、いくら言ったって駄目なのよ。」
髪の毛はまっ茶に染め、薄化粧をした娘は、大人ぶってはいるものの、まだあどけない顔立ちをし、前田に似て美人だった。
「こんな廊下でみっともないから、もう、帰ってください。私たち、この家から出て行きますから。」
「お嬢さんね。この吉田さん、ここの大家さんなんだけどさ。この人もね、前田さんから家賃もらってなくて困ってるんだ。」
倉橋は、前田の娘に少しでも理解を得られるように話をした。
「もちろん、前田さんだけが悪いわけじゃなくてさ、権藤っていたろ。吉田さんも、お母さんも、この権藤に騙されちゃったわけ。」
睨みつける前田の娘に、賃料を支払わない理由を権藤のせいにして、家庭内がギクシャクしないよう配慮する為に付け加えた。
「そうはいっても、今日の裁判で確定したからね。やっぱり、ここは出てもらわなくちゃならないのね。あとで、よくお母さんと相談して、いい引越先探してね。」
「わかりました。」
娘は前田の腕を引っ張り部屋に引き入れると、バタンと扉を閉めた。
「なんだか、可哀想じゃないですか。」
無言のまま双方の会話を聞いていた吉田が、倉橋に言った。
「せめて高校を卒業するまで、待ってあげたらどうですか。」
「あのね、吉田さん。ここからは私情は禁物ですよ。」
法的手続きで私情は禁物である。動産の差し押さえから明渡しの強制執行に至るまで、このような場面は多くある。
例えば、債務者が泣いて縋ってきて期日を延期した所で、結果、解決に至ることはない。法的手続きは判決を取ってから強制執行に至るまで、相応な時間が掛かるようにできている。その間に積極的に双方解決に向かって努力し、それでも相手方が応じないときは、強制執行はやむを得ないのである。
ここは、プロとして引いてはいけない部分である。
「変に同情すると、吉田さん、傷口は深くなりますよ。」 
「それに吉田さん。」廣瀬が付け加えるように言った。
「あの娘さんが高校卒業するまで、資金的に耐えられるんですか。」

吉田は、この廣瀬の言葉に、背中に冷たいものが流れるのを感じた。

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2005年05月28日

不動産コンサルタント始末記 10

第10話 法廷

「どうなんですか、吉田さん。」
裁判官が、絶句している吉田に発言を促した。

「間違えました。最初から8万円です。」
吉田は、必死になって答えた。
「僕が権藤という人に騙されて、家賃15万円と聞いて買ったのですが、本当は8万円だったんです。」
「じゃあ、最初から8万円で間違いないのね。」
裁判官は、うんざりした表情で吉田に言った。
「ところであなたね、被告、つまり前田さんにね、会ったことあるの。」
倉橋も廣瀬も、まずい、と思った。
ここで会ってもいないとなると、債務について疑義が生じる。
こちらとしては家賃など8万円でも7万円でも、そんなことはどうでもよく、契約解除が認められ、明渡しの債務名義が取れれば良いのである。
「あ、あります。親子でここに住んでいます。」
まじめな吉田は、法廷で嘘をついた。
「僕が直接本人に会って、8万円であることを聞き出しましたので、間違いありません。」 
「ん〜、前田さんも一度、呼んだほうがいいかなぁ。」裁判官が、疑わしい目つきで吉田を眺めて言った。 
「裁判官、お願いです。何とか判決をもらえませんでしょうか。」吉田は必死で懇願した。
「正直言って、このマンションを購入して、家賃が入ってこないことによって、僕自身が消費者金融から多額な借金を抱えてしまいました。」
勝手に話し出した吉田に対し、書記官が静止しようとした所、裁判官が書記官を逆に静止し、吉田にしゃべらせた。
「僕は役場に勤めていて、その消費者金融からの矢のような催促に耐え切れなくなり、死のうとも思いました。だけど、父親が、務めていた学校を定年前に退職して、の退職金で一応の借金を返済することができましたが、このままでは、また、行き詰まってしまいます。」
気弱な吉田には珍しく、かなり高揚した声で裁判官に訴えた。 
傍聴人席にいた人たちも興味をもったのか、じっと吉田を見つめていた。 
「このままでは、両親に申し訳ないんです。僕が、こんなことさえしなければ、父親も、学校を辞めなくても済んだのに...。」
握りこぶしを原告席の机に押し付け、高揚した吉田の顔は真っ赤だった。

「僕は、僕は、自分の見栄の為に、両親の人生を狂わしてしまったんです。」

あろうことか、吉田は法廷で泣き崩れてしまった。
 
「わかった、分かりましたから、落ち着いて椅子にお座りなさい。」これには、裁判官も慌て、書記官が吉田を抱えるように椅子に座らせた。
「被告つまり前田さんね、本当に18ヶ月以上も家賃を滞納しているのね。」
「はい、間違いありません。」
椅子に座らせられた吉田は、涙も拭かずに呆然とした口調で答えた。

「あなた、役場に勤めているって言ったけど、公務員?。」裁判官は、唐突に吉田の身分を尋ねた。
「はい。地方公務員です。」
「あなた、公務員なんだから、今後は気をつけなさいね。公僕なんだから。」裁判官も、そういえば公務員である。
意味は不明であるが、同胞意識なのか、ま、公務員だから嘘はつかないだろうとの判断なのか、裁判官が吉田の方を笑顔で見ながら言った。

「本件は終結します。1週間後、判決します。以上、ご苦労様でした。」
力なく、吉田は原告席を後にし、傍聴人席の倉橋と廣瀬と合流して、裁判所を
後にした。

「いやぁ、みっともない所をお見せしました。」
 廣瀬の運転する車の後部座席に、倉橋と吉田が座ると、吉田が頭を掻きなが
 ら誰にともなく言った。
「おまけに、嘘、ついちゃいました。」
「いやぁ、上出来ですよ。」倉橋が吉田に慰めるように言うと、廣瀬はバックミラー越しに笑顔を見せた。
「1週間で判決ですから、かなりのスピード判決です。これも、吉田さんの迫真に迫った説得力のお陰です。良かったですよね。」
「先生、この後は、どんな感じになるんですか。」
「判決が出次第、執行文付与申請を行います。これは、吉田さんがこなくても手続きは取れます。」倉橋が手続きの流れを吉田に説明した。
「その後、室内の動産を差し押さえて、競売と明渡しの強制執行を行います。これも手続き的には、こちらで行えますので、吉田さんはわざわざ出てこなくても大丈夫です。ただ、差し押さえのときには強制的に室内に入りますので、吉田さんの立会いが必要です。当然、そのときには私たちも立ち会いますから、心配はいりません。」
「じゃあ、もう、裁判所にはこなくて良いんですか。」
吉田は、驚いたように倉橋に言った。
「もう、結審しましたからね。裁判所には行きせんよ。」
裁判などしたことのない吉田にとって、裁判の仕組みなど理解できないのかもしれないなと思いながら倉橋は言った。
「一般の人は、裁判って言うとすごく難しいイメージがありますが、やってみると簡単でしょ。」
「いやぁ、驚きました。こんなに簡単だとは思いませんでした。」
呆気に取られた様子で吉田がいうと、廣瀬が運転席から笑いながら言った。
「どんなに優秀な弁護士でも、吉田さんのように切迫して裁判官に迫れる人はいませんよ。」
そして、皮肉をこめて
「公務員でもないしね。」と言った。

・・・続きは、また、お届け致します!

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2005年05月27日

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2005年05月26日

不動産コンサルタント始末記 9

b34d5a27.jpg第9話 明渡請求裁判

廣瀬が契約解除付の訴状を提出して、概ね2週間程度で第1回口頭弁論期日が入った。

吉田は弁論期日の前日から横浜に出てきてスタンバイし、倉橋は、当日、吉田を法廷に慣れさせるために1時間ほど前に傍聴席に座らせた。

「裁判所って、本当にテレビで見たとおりなんですね。」吉田は横浜地方裁判所の法廷に入って、倉橋に言った。

「僕、大丈夫ですかね。」
「大丈夫ですよ。裁判官に聞かれたら、訴状のとおりですって言えばそれで終わりです。」

訴訟手続きの場合、概ね文書主義で審理される為、第1回口頭弁論の際、相手方から「答弁書」等が出れば、原告側は「準備書面」で対抗することになるが、本件のように賃料滞納による建物明渡し訴訟のような場合、契約違反は明らかな為、相手方が争ってくる可能性は少なく、意外に簡単に債務名義が取れることが多い。

「ただ、前田さんはこない可能性が高いですから、18ヶ月以上滞納されていることを強調して、何とか、今日、結審してくださいって言ってください。次回期日が入ると1ヶ月は後になりますから。」

法廷では、別件の損害賠償請求事件を審理しており、原告が裁判官に食い下がった所、裁判官が原告を大きな声で窘めていた。

「あなたね、何べん言えば分かるの。駄目なものは駄目なの。」
かなり気の短い裁判官らしく、更に食い下がろうとする原告に「もういいや。分からなければしょうがないね。結審します。判決は2週間後、以上。」
裁判官は、さっさと書類をとじると、不満そうな原告を退け、次の審理に進んだ。

「僕も、あんなふうに叱られるんですか。」
吉田は、この光景を見てかなり緊張しながら、倉橋に言った。
「いや、あれは原告が悪いんですよ。請求する相手方を間違えているから、裁判にならないんです。」
裁判の内容を察知し、簡単に裁判官が窘めている理由を倉橋は吉田に説明した。
「ただ、この裁判官は気が短そうだから、今日、結審してくれるかもしれませんよ。かえって有利です。」

裁判官にもいろいろな性格な人がおり、時間をかけて和解を勧める裁判官もいれば、結構早い段階で結審し、単刀直入な判決を下してくれる裁判官もいる。
本件のように賃料滞納による建物明渡し請求訴訟のような場合、相手方が出頭してこないときは、再度、呼び出しをかけて1ヶ月くらい後にもう一度口頭弁論を行うことが多い。しかしこれも裁判官の判断に基づく為、単刀直入に判決を下してくれるような裁判官の場合、1回の口頭弁論で終結してくれることもあるのである。

「吉田さん、落ち着いて訴状のとおりです、って言ってください。」
廣瀬が不安そうな吉田に耳打ちした。
「その後、18ヶ月以上滞納している事実を明確に裁判官に言って、吉田さんも困っていることも、言うチャンスがあれば言ってください。」
そして裁判官のほうを上目遣いで見た後、
「あの裁判官、気短のようですから、判決くださいって言ってみてください。」
吉田に向かって、廣瀬がニタッと笑った。

「建物明渡し請求事件、原告、吉田浩、被告、前田はじめ。」
書記官が法廷への呼び出しを行った。

「なお、被告は欠席です。」
「原告にお尋ねしますが、この賃料滞納の事実に間違いありませんか。」
裁判官は、吉田に丁寧に尋ねた。

「はい、間違いありません。」吉田は、気弱に答えた。
「訴状のとおりです。」
「あれ、契約書がないけど、保管してないの。」裁判官が意地悪そうに吉田に聞いた。
「ええ、それは、権藤という人がいまして、その人から勧められてこのマンションを買いまして。」吉田が裁判官にいままでの経緯を話し出した。

「最初は、15万円の約束だったのですが、いや、確かに15万円をもらっていたのですが.....。」
「あのね、聞かれたことだけ答えてください。」裁判官は苛立ちながらいった。
「契約書はないのね。」
「はい、ありません。」
「家賃は15万円って言ってたけど、訴状には8万円ってなってますよね。」
裁判官は、さらに意地悪そうに吉田に尋ねた。

「はい、いまは8万円です。」
吉田は、緊張の余り真っ赤な顔でおどおどしながら答えた。

「いまは、ってあなたは言うけど、訴状には当初より8万円と記載されているじゃないですか。」裁判官が少し大きな声で吉田に言った。

「訴状の記載内容に、偽りがあるのですか。」
倉橋も廣瀬も、傍聴人席で固唾を飲んだ。

吉田は俯いたまま、しばらく絶句してしまった。

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2005年05月25日

不動産コンサルタント始末記 8

313189b2.jpg第8話 方針決定

「先生、これって、どうします?」

港南台のオフィスに戻り、廣瀬が倉橋に言った。

「不法占有にしますか、賃料滞納にしますか。」
「不法占有だと、仮処分が必要だよね。」

本件のように、誰と契約したか分からないような場合、訴訟を起した時点で占有を移転、つまり他の誰かと入れ替わってしまう可能性がある。その為に「占有移転禁止の仮処分」というのをかける必要がある。
ただ、今回の場合、親子で居住していることから、占有移転の可能性は少なく、倉橋は、先ほどの前田京子の話を基に、賃料滞納による建物明渡訴訟に踏み切ったほうがよいと考えていた。

「さっきの彼女、家賃の8万円は認めていたから、多分、争いにはならないと思うなぁ。」

本件については最初から契約書がないから、民法の賃貸借になる。
よく契約書がないから契約が成立していないなどと勘違いする人が多いが、建物賃貸借の場合、貸主と借主の間で異議がなく、その建物の引渡しと賃料の支払いがあれ、建物賃貸借契約は成立する。ただし特約の定めがないから、契約違反を限定し難く、その賃料はその月の月末持参払いが原則となる。
本件のように契約書が存在しなくとも、特約の定めがなく契約違反を指摘し難いだけで、本件のように賃料が明確に滞納しているようであれば、明らかに貸主と借主の間で信頼関係は破壊されているから、契約解除は認められ、滞納賃料の支払いと本件建物明渡しの「債務名義」は取れる。

ちなみに「債務名義」とは「執行名義」ともいい、強制執行ができうる公の文書のことを指すのであるが、通常、賃料の滞納者や契約違反者に対して法的措置を取るようなときは、この債務名義をいかに効率よく取得するかを考え、行動しなくてはならない。

本件では未払い賃料を取り立てるより、この18ヶ月も賃料を支払わずに居住している親子を立ち退かせることの方が重要である。
本件建物賃貸借契約には、連帯保証人など付保していないのであるから、このまま居住されれば被害額は更に膨らむことは確実である。

「じゃぁ、内容証明は入れずに、いきなり訴訟のほうがいいですよね。」

もともと廣瀬も倉橋同様に考えており、早速、訴訟準備に入ることにした。
通常の賃料滞納者であれば、まず配達証明付内容証明郵便で、滞納賃料の支払い督促付の契約解除通知を出し、その後、建物明渡訴訟を提起するのが普通であるが、本件のような18ヶ月もの賃料滞納者においては、訴状到達をもって契約解除通知とすることも可能なのである。

本件建物は、横浜市の戸塚区にあり、被告住所地も同様である為、裁判所は横浜地方裁判所が管轄である。
本件の原告である吉田は、本件訴訟において弁護士を依頼しない限り、その都度、島から出てこなければならない。

「この件は、吉田さんが選択して頂かなければなりません。」
倉橋は、吉田に電話をかけて弁護士を介在させるかどうかを確認した。

「当然、費用に大きな違いが出ます。」
通常、訴訟等を行い、本人が立ち会えない場合、代理人は弁護士以外を選任することはできない。法人の場合は、簡易裁判所であれば社員が代理人認定を取得し、代表者の代わりに裁判所に出頭することはできるが、地方裁判所以上の裁判所では、それができない。
本件の場合、吉田本人が裁判所呼び出しの都度、ほぼ1日かけて島から出てくるか、当職事務所指定の弁護士を依頼するか、その選択が迫られることになる。

「内容は、わかりました。」
吉田は、最初、弱々しい口調で倉橋に答えた。

「先生、弁護士に依頼しないとなると何回くらい裁判所に行くようですか?」
「そうだなぁ、裁判所に2回、差押に1回、強制執行に1回、順調に行けば4回くらいかなぁ。」
当然、相手方が争ってくれば、この回数は計り知れない。

「でも吉田さん、自分でやったことの後始末だから、最後まで自分でやってみたら。」
「実は先日、先生とご相談したときから、覚悟は決めていました。」
父親の退職金で自らの借金を清算した吉田は、なるべく自らの努力で早期解決を図りたいと考えていた。
自分の借金のお陰で退職せざるを得なくなった父親、何の咎めもしない両親に対し、自らの生活を維持する為に弁護士任せにはできないと吉田は考えた。

「何の役にも立たないと思いますが、裁判の都度、そちらに伺うくらいは大丈夫です。もともと死のうと思っていたくらいですから、役場をクビになってもどうということはありません。」
吉田の言葉に、倉橋はちょっと動揺したが「でも先生。心配しないで下さい。公務員なんていうのは、余程のことがなければ解雇になりませんから。」

かくして、倉橋と吉田、そして廣瀬の共同作戦が開始された。

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2005年05月24日

不動産コンサルタント始末記 7

85ea8332.jpg第7話 現地調査

「私、廣瀬吉正と申します。」
倉橋から紹介されて、廣瀬は、吉田の両親と吉田に向けて、名刺を差し出した。
「今回の件は、私が担当させて頂きます。」
廣瀬は、CFネッツの賃貸管理部門を担当している。
倉橋が前職で勤めていた会社でも、倉橋の部下として賃貸管理部門を行っていたから、ベテランの域に達している。倉橋が、本件を廣瀬に担当させようと考えたのは、廣瀬が得意とする強制執行が伴なう明渡訴訟に発展する可能性が強いと察知したからである。
「この男は、自殺死体の処理している最中、ハンバーガーを食べながら報告してくるような奴です。」
倉橋が、廣瀬のキャラクターを吉田と両親に告げた。
「ちょっとやそっとでは、動じない奴ですから、安心して任せてください。」
吉田も、吉田の両親も、不気味なものを見るような目つきで廣瀬に挨拶し、廣瀬は、無気味な目で、にこっと笑った。

その日、倉橋と廣瀬は、吉田の所有するマンションを訪れた。

通常、このように入居者が分からないような場合、入居者を早急に確定する必要がある。
また、その入居者の占有理由も明確にしなければならない。
つまり、賃料を支払って賃借して占有しているのか、賃料を支払わず使用貸借で占有しているのか、あるいは全く不当に不法占有しているのかを明確にしなければ次の手は打てない。
このような場合、占有している本人から事情聴取して証拠を固めるようにするのが鉄則である。

「スイッチは、大丈夫か。」
倉橋が廣瀬に録音機のスイッチを確認させた。
「大丈夫です。」
廣瀬は、ジャケットの内ポケットに秘めた小型のテープレコーダーのスイッチを確認して言った。
「行きますか。」
マンションのインターホンを廣瀬が押した。
「はい。」ぶっきらぼうにインターホンで答えた声は、意外にも若かった。
「何でしょう。」
「恐れ入ります。私、廣瀬と申しまして、このマンション所有者の代理のもの
です。」
廣瀬が慇懃にインターホン口に語りかけた。
「いろいろと事情をお聞きしたいと思いまして。」
間もなく、髪を茶色く染めた高校生らしい女性がマンションの扉を開けた。
「いま、お母さん、出かけていていません。」
嘘ではなさそうな口調で彼女は言った。
「ごめんなさいね。ちょっと教えてもらえる。」
倉橋が、廣瀬に代わって彼女に尋ねた。
「表札が貼ってないけど、お名前はなんていうの。」
「前田。前田はじめ。」
「あ、そう。お母さんは。」
事情聴取の際は、淡々と聞きたい内容を聞き出すようにするのがポイントである。
人間、心理的には、聞かれたことには答えなければならないという、妙な義務感のような心理が生じるものである。
「前田京子。」
「二人で住んでるの。」
「はい。」
「お母さんは、何しているの。」
 
「何ですか。」倉橋が、その高校生に事情を聞き出していると、後ろから声をかけられた。
明らかに水商売風の女性であった。
「何か、御用ですか。」
「前田京子さんですか。」倉橋は彼女に聞き、続けた。
「私、このマンション所有者から依頼されて参りました、コンサルタントの倉橋といいます。そして彼は、私の部下の廣瀬といいます。」
倉橋と廣瀬は名刺を差し出した。
「ああ、そうなんですか。」彼女は、ちょっと気まずい口調で言った。
「そのうち、誰かがくるんじゃないかって、思ってました。」
「ところで、ここは誰から借りて住んでいるんですか。」倉橋は、率直に聞いた。
「権藤からですか。」
「ええ、でも、権藤さんからは、次の人が決まるまで、住んでいてもいいって言われてました。」
少し、おどおどした口調で答えた。
「賃料はいくらでした。」
倉橋も廣瀬も、瞬間、賃料を払ってなければ厄介だな、と思った。
「こちらは、15万円と聞いているんですけど。」
「ええっ、そんな筈はありません。」彼女は驚いた様子で言った。
倉橋も廣瀬も、このマンションが15万円で貸せる代物とは思っておらず、どうせ権藤が吉田の口座に15万円ずつ偽装して支払っていたのではないかと考えていた。
「最初の約束では、8万円だったと思います。」
「最初の約束って言いますと。」倉橋は、その言葉を聞き逃さなかった。
「いまは、いくらなんですか。」
「最初、2回くらい権藤さんが見えて、8万円ずつ支払いました。」
俯きながら彼女は、恐る恐る話し出した。
「ただ、その後、権藤さんが、ちょくちょく家に泊まるようになって。」
倉橋も廣瀬も、耳を疑った。
「その後は、家賃、払っていません。 .......すいません。」

吉田が所有するマンションの廊下で、そのマンションに住んでいる水商売風の女性から事情聴取しながら、倉橋は、大まかな今回の事件の流れを掴むことができた。
 
廣瀬は、その女性の豊満な胸の谷間を眺め、権藤とこの女性の情事を想像したのか、にたっと不気味に笑った。

・・・続きは、また、お届け致します!

■■■■■■■横浜講演決定!『アッと驚く不動産投資2005初級編』■■■■■■■■

ここ最近東京都内で行われておりました、CFネッツの不動産投資セミナーを地元横浜で開催する運びとなりました!
横浜にお住まいの投資家のみなさま、これから投資を始めようとお考えのみなさま、この機会にぜひご参加ください!

▼初級編
【日時】  平成17年6月26日(日) 講 演:13:30〜16:30
懇親会:17:00〜 (※別途費用)

【会場】  東京ガス横浜ショールーム
【受講料】 6,000円

●詳細&申込↓
http://www.cfnets.co.jp/cfseminer/s_syousai/0625syokyu.htm

2005年05月23日

セミナー事業部よりお知らせ

d00fa897.JPGW出版記念講演!新刊プレゼント!
フツーの人が大家さんになるには・・・
『ふたりの成功者が語る不動産投資術』セミナー残り10席!
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年金不安・雇用不安・デフレ経済を自分の力で切り開いた
フツーの人々の実例を、不動産業界歴21年、11の不動産関連資格をもち
3棟20室のアパートオーナーでもある著者:猪俣淳(いのまたきよし)
が自分でやってみたノウハウとあわせ一挙公開!
6/5出版記念講演開催! 倉橋隆行と猪俣淳のジョイントセミナー!

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【著者より】
不動産業界歴21年。一級建築士をはじめ、ファイナンシャルプランナー・
不動産コンサルタント・不動産アナリスト・宅建など11の関連資格を
引っさげて、より不動産投資道を究めたいと5月からCFネッツの
仲間となりました猪俣 淳(いのまた きよし)です。
自分自身も4年前からアパート経営をはじめ、現在横浜市内に
3棟20室を所有。自ら実践したノウハウと、サラリーマン大家さんに
なった12人の方々の実例をまとめた本を出版することになりました。
5/25に全国の書店に並びますのでぜひお求めください。
不動産投資本の決定版(!)と思っています。

▼猪俣 淳(いのまた きよし)ご紹介↓
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当社代表の前職同期、不動産コンサルタント
猪俣 淳(いのまた きよし)6/25新刊発売!!
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著者:不動産コンサルタント 猪俣 淳(いのまた きよし)
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2005年05月22日

不動産コンサルタント始末記 6

22ac4393.jpg第6話 信頼回復

「CFネッツ」は、不動産コンサルタントの倉橋隆行が経営する不動産コンサルタント会社である。
当時倉橋は、この会社と、マンスリーマンションを運営する「月極倶楽部」、不動産関連の研修事業などを手がける「不動産体系研究所」など、5つの会社を経営し、出版物も多く出していた。
その為、自分の会社のマネジメントだけではなく全国的に講演などの依頼も多く、毎日、超多忙な日々を送っていた。

不動産コンサルタント会社という非常に間口の広い商売では、相続対策や土地有効活用などの付加価値の高い仕事をメインで行おうと思っても、そう簡単に仕事がくるものではない。またコンサルタントの仕事は、その個人のキャラクターで仕事がくるケースが多く、名前が売れてこないと仕事も増えない。
倉橋自体は著書も多数出ているし、テレビの出演回数も多いから、人より仕事のチャンスは多い。倉橋としては、CFネッツでこの業務のフランチャイズ展開を行い、ノウハウを提供して多店舗展開を仕掛けるつもりでいたが、時代がまだ早かった。業界には、ノウハウを享受できる人材が、明らかに不足しているのだ。そこで、仕方なしに、住宅新報社などが主催するセミナーの講師や、業界団体の主催するセミナーの講師を引き受け、当面、業界のレベル向上に励むことにし、一時、フランチャイズのシステムを止め、自社の出店の中で社員教育を充実することにしていた。

「倉橋先生は、いらっしゃいますか?」
戸塚は、多忙な倉橋にアポイントを取り付けるため、CFネッツの横浜オフィスに電話をかけた。
「記者の戸塚と申します。」

「あ、戸塚さん。先日は、どうも。」まさかいないだろうと思っていた倉橋が、秘書を通じて電話に出たことに、戸塚は少々驚いた。

倉橋の自宅は、横浜市内の中心にある。
本来であれば、東京の仕事が多いため、新宿のオフィスに出勤したほうが効率的であるが、倉橋は横浜生まれの横浜育ち、どうも東京の喧騒にはなじめず、港南台にあるCFネッツの横浜本部で執務することが多い。
この日も、大型の不動産投資案件の目論見書を作成しているところであった。

「先日は、取材、ありがとうございました。」戸塚の言葉に、倉橋は更に取材の申込みかと考えていたが「実は、先生に助けてもらいたい人がいるのですが。」
「まぁ、戸塚さんの頼みじゃ、嫌とはいえないけど。」
倉橋は、先日、戸塚の書いた記事に、非常に満足していた。
まだ小さな会社であるのに、大手の会社と比較しても大々的に記事に取り上げてくれ、倉橋の考えを比較的正確に伝えてくれていた。だからという訳ではないが、気持ちを汲んでくれた戸塚の頼みであれば、気持ちで応えてあげようと倉橋は思ったのだった。
「で、どんな内容?」

夏も、そろそろ終わりを告げる頃、初老の夫婦と倉橋より一回り下位の吉田がCFネッツの横浜本部に現れた。
「これ、つまらんもんですが。」
ズシッと重い紙袋を倉橋に手渡し、吉田の父が挨拶した。
「いやぁ、そんな気を遣わなくても。」と言いながら、その袋の重さに興味をもち、倉橋が袋を開けると中にはぎっしりといちご煮の缶詰が入っていた。
「へぇ、いちご煮って、缶詰なんか、あるんですね。」
いちご煮とは、うにとあわびでつくった塩味のお吸い物である。
倉橋は、吉田の両親が住む地方に講演に行くと、必ず、焼きかぜといちご煮を食べる。そんな話を先日の戸塚からの電話で話したものだから、きっと戸塚が吉田に話したのだろう。
妙な気を遣わしてしまったことに、倉橋は、少々、恥ずかしい思いをした。

「先生、何とか息子を助けてくれませんか。」
吉田の母が今までの経緯を話し出し、吉田は俯いたまま、隣で話を聞いていた。
ほとんどの内容を、吉田の母が丁寧な口調で話し終えた。

「ん〜、で、何でご両親がついてくるの。」
問題は、吉田のことなのに、何か第三者的に話を聞いている30の半ばを過ぎた吉田に、少々、苛立ちを覚え、倉橋は吉田に言った。
「確かに、いちご煮を頂いたことはありがたいけど、もう独り立ちしたいい大人が、こんな話で両親を連れてこなくても、いいんじゃないの。」
倉橋の両親も健在で横浜に住んでいる。吉田の両親と倉橋の両親の顔がだぶり、倉橋の両親が懇願している姿のように倉橋には映った。

倉橋は、今後の解決に向けての方向性を、概ね両親と吉田に告げ、「本件を引き受ける条件があります。」倉橋は、吉田に向かっていった。
「吉田さんは、両親に借りた金は必ず返すこと。報酬は、分割でもよいから、吉田さん自身が払うこと。そして、今後、一切、両親を巻き込まないこと。」
倉橋は、両親の目の前で、吉田にきっぱりと言った。

「はい。先生の言うとおりにします。」
弱々しい声で、吉田がいうと、吉田の母の目に、薄っすらと涙が浮かんでいた。

・・・続きは、後日、お届け致します!

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2005年05月21日

不動産コンサルタント始末記 5

755d125b.jpg第5話 脅迫

「おい、吉田はいるか。」
ある日、役場の受付に、柄の悪い男から電話が入った。
「お前の所の役場では、役人は借金を返さなくていいって教育してんのか!
責任者、出せや!」
「課長、た、たいへんです。」
電話に出た受付の女性が、大声で課長を呼んだ。
「吉田さん宛で、暴力団のような人が騒いでいます!」
さほど広くない役場に、女性の声が響き渡った。
運悪く吉田は外出中であった為、課長が電話に出るしかなかった。
「はい、お電話代わりましたが。」課長は、丁寧な口調で電話に出た。「あいにく、吉田は外出中ですか。」
「あんた、誰?」相手の男は、課長の立場を確認し、
「おたくの部下、吉田っていうの、いるよね。公務員の癖して借りた金、
返しませんねん。あんた、上司なら上司らしく、きつく叱ってもらえませんか。」
関西訛りの言葉で、神経を逆撫でするように課長に言った。
「役場の町長さんは、親も同然、あんた課長さんは、兄貴も同然や、な、仮に吉田が借金返せなんだら、兄貴や親が面倒見る、これが正しい姿や。」
妙な理屈をつけ、最後に「明日まで待ったるわ。万一、明日までに耳を揃えて返済しなければ、役場、乗りこんどるさかい、覚悟しいや。」
低い声で恫喝し、電話を切った。
課長がうな垂れて電話を切ると、一瞬、役場全体が静寂に包まれた。
その日、吉田は、課長と係長に呼び出され、今後の方針などを問いただされたが、吉田自身、既に消費者金融業者数社に400万円を超える借金を抱え、どうしてよいか分からない状態であったし、不当な金融業者からの夜中までいたる、矢のような催促に疲れ果てていた。
更に、昨日、吉田の家の前には、猫の死体が投げ込まれ、玄関の扉には「死ね!」と書かれた紙が貼られていた。
吉田自身、本当に死ぬしかないのかな、などと考えるようになっていた。

その夜、吉田は、久しぶりに実家へ電話をかけた。
別に、お金を無心するつもりではなく、死ぬ前に、一言、母の声が聞きたかった。
「浩、お父さんには話してあるから、お金、どうすればいいか教えてちょうだい。」
吉田は、何も言っていないのに、突然、母は言った。
「えっ、何のこと。」
吉田は、とぼけようと努力したが、言葉が詰まったまま声が出ず、結局、泣き出してしまった。
きっと消費者金融の連中が、両親にも執拗に電話をかけていたに違いない。
そんなことを考えると、本当に自分など死んだほうがよいのではないかと泣きながら考えた。
「母さん.....、死にたい。」
「何を馬鹿なこと言うのよ。しっかりしなさい。」
母は、毅然と吉田に言った。
「お父さん、別に怒ってないわよ。」
子供の頃、何かにつけて厳格な父に怒られていた吉田を、いつも母は、こんな言葉で慰めていたことを思い出した。
そして母は、「お金のことは、心配要らないわ。お父さん、学校辞めちゃったから。」と翳った口調で言った。

吉田はしばらく、受話器をもったまま泣き崩れた。

翌日、母は、吉田の銀行口座に500万円を振り込んでくれ、消費者金融の返済はすべて片付けることができた。
このお金が父の退職金の一部だと考えると気が重かったが、逆に、早く決着をつけなければならないという勇気のようなものも感じていた。

「戸塚さん、いらっしゃいますか。」
吉田は、どうしてよいか分からず、友人の戸塚に電話をかけた。
戸塚は、とある不動産業界雑誌の記者をしており、彼に相談すればよい解決方法が見つかるのではないかと考えたのである。
「はい、戸塚ですが、吉田さんって、どちらの吉田さん。」
ぶっきらぼうに電話に出た戸塚は、面倒くさそうな口調だった。
吉田は、戸塚に、一連の話を洗いざらい話した。
また戸塚は、権藤のことも良く知っていたから、ひょっとすると消息も分かるのではないかと、若干、期待もしていた。
「お前、馬鹿だよな。」概ね話を聞いた戸塚は、吉田に言った。
「買う前に、相談しろよ。」
言われてみればそうである。
同じ東京で戸塚は、不動産業界誌の記者として働いているのである。
「権藤の会社ったって、バブルの頃は威勢は良かったけど、お前がこのマンション買ったときは、半ば休業状態。松本って言ったかな、あそこの社長。この頃は、借金取りに追い立てられてたんじゃないの。」
さすがに記者だけあって、情報網はすごいと思った。
「で、どうしろっていうの。」
「俺、このマンション、どこにあるかも知らないし、いま、いくらで売れるのかも分からない。」
吉田は、戸塚ならきっと力になってくれるような気がした。
「実は、どうしていいのかも、分からないんだ。」
「そんなこと言われても、おれ、記者だしな。」
しばらく考えてから「そういえば、先日、取材した会社の社長、変わってるから相談にのってくれるかも知れないなぁ。」
戸塚の頭の中に不動産コンサルタントの倉橋の名前が浮かんでいた。
「この社長、他の出版社からだけど、あっと驚く不動産投資って本出しててさ、前は、賃貸トラブル110番っていうのも出していたから、結構、この手の話は相談にのってくれるかもな。」
戸塚は、倉橋の印象を大まかに話し、
「一応、おれ、掛け合ってやるから、結果を電話してやる。じゃあな。」
電話は切られた。

かくして、この事件は、不動産コンサルタントの倉橋のところに持ち込まれることになった。

・・・続きは、後日、掲載致します!

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【筆者のプロフィール】
Y.C.A.(ヨコハマ.コンピューター.アカデミー)在学中、輸出関連会社を起こすも、ココム規制(COCOM=対共産圏輸出規制)により廃業。 その後某不動産仲介業者においてトップ営業マン、副店長を経て企画課を自ら立上げて課長に就任。C.I.戦略(コーポレート.アイデンティティー)導入や、社内のロゴマークのデザイン、地域戦略を実践し、地域文化活動を主宰する。 その後、賃貸管理業務とコンサルティングを併せた新しい事業を開発し、同事業部の所長に就任、経常利益率35%超の事業構築に成功する。 1993年(平成5年)「賃貸住宅仲介・管理の戦略・戦術と業務マニュアル」(環境企画)を執筆。当時は、まだ賃貸管理業務が体系化されていなかった時代に、契約書式や業務フローの効率化を発表。その後も3冊の業界向けマニュアル本を出版したことでプロパティマネジメントのエキスパートとして活躍したが、あの「金持ち父さん貧乏父さん」(ロバートキヨサキ著 筑摩書房)の発売前に「アッと驚く 不動産投資」(住宅新報社)を出版、その後、数々の不動産投資に関する著書を発表、現在では、不動産投資の世界でもカリスマ的な存在となっている。 また、自ら渡米して国際ライセンスのCPM(Certified Property Manager)を日本人で初めて取得しており、現IREN−JAPANを創設し、日本国内のプロパティマネジメントの近代化に取り組んでいる第一人者でもある。

主な経歴
(株)CFネッツ 代表取締役

CFネッツ ホームページ

1993年、「賃貸住宅仲介・管理の戦略・戦術と業務マニュアル」(環境企画)出版 その後、3冊のマニュアルを発表
1996年、社団法人 全国賃貸住宅経営協会横浜南部支部支部長に就任し、翌年、同協会の神奈川連合会の創設に伴い副会長に就任。
1998年、不動産業界に関するシンクタンクである不動産綜建研究所創設に伴い、取締役所長に就任。
1999年、総合的な月貸し賃貸の運用会社である(株)月極倶楽部を創立、代表取締役に就任。同時に某不動産仲介業者を退職。
そして、ほぼ同時期に資産運用管理会社である株式会社CFネッツを創立し、代表取締役に就任する。
2001年、JREM国際CPM協会(現IREM−JAPAN) 副会長就任
2002年、JREM国際CPM協会(現IREM−JAPAN) 会長就任
2003年4月、IREM(全米不動産管理協会)より、CPM(公認不動産管理士 サーティファイド.プロパティマネージャー)の称号を取得。日本で初めての公式試験受験による取得者となる。
これまでに、株式会社南青山建築工房、株式会社日本テナントサービスなど、グループ会社13社、総社員数120名を超えるまでに成長させている。
また現在でも、不動産投資から不動産全般の法律問題、相続対策、建築コンサルティング等や、不動産業者向けの経営コンサルティングやシステム開発にも携わり、抜群の成果を誇る経営コンサルタントとしても活躍中。さらに執筆活動や日本全国で講演なども行っている。不動産投資家としても著名であり、また澤田痴陶人の美術収集家でも知られ、「城ヶ島遊ヶ崎リゾート」「炭火焼蔵」「六本木 遊ヶ崎」などの飲食店を経営する美食家としても知られている。
 著書に「不動産投資、成功の方程式」「お金に困らない人生設計」「損しない相続 遺言・相続税の正しい知識」「プロが教えるアッと驚く不動産投資」「馬鹿に効く薬」ほか多数。

成功への「こころ」の科学を
不定期につぶやきます。
遊ヶ崎グループ
城ヶ島遊ヶ崎リゾート
三浦市・三崎・城ヶ島観光WEB
炭火焼「蔵」:炭火焼き:串焼き:三崎:日本料理
六本木「遊ヶ崎」:日本料理:会席料理:懐石料理:個室
uno:三崎:美容室:宇野伸治
大英博物館で陶芸家として初の個展が開催された鬼才・澤田痴陶人美術館の公式ホームページ
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