2005年02月19日
不動産とお金の話 4
第2章 いまから勤労所得ゼロの時に備える!
1.急に生活レベルは落とせない!
身近な人の話。
ある日、定年退職を間近に控えた公務員が「退職金3000万円の半額くらいでマンションを探してくれないか」とやってきた。
その人は年収1500万円もありながら、家賃3万5000円の公務員住宅に住んでいた。さぞかし株や債権などの金融資産を貯めこんでいるんだろうと予測されたが、意外にも、主な財産といえば銀行貯金が500万円あるだけだった。
退職したら公務員住宅を出なければならなくなり、自宅の近隣に次の住いを探しにきたわけだが、その公務員住宅は3LDK、その辺りの家賃相場を調べてみると、同程度の賃貸住宅では12万円は下らない。
同じレベルの分譲マンションを、退職金の半分、つまり1500万円で探すのはとても無理な話。
また退職間近であるから、新たに住宅ローンを借りることもできず、散々、1500万円で購入できるマンションを探してみたが、公務員住宅よりレベルは低い。結局、その人の家族は、一旦は近くに家賃12万円の賃貸マンションを探し、そこに住むことになったが、ほんの1年程度で田舎に引っ越してしまった。
この定年退職者の話を持ち出したのは、社宅住まいの危険性を訴えるとともに、人の生活レベルは変えられるかどうかということを考えて頂きたかったからである。
おそらく、この人は生活プランといったものにまったく無頓着な人生を過ごしてきただろうと推測できる。退職して勤労所得がゼロになったのに家賃が3万5000円から一挙に12万円に跳ね上がった。これまでの生活レベルを推し測ると、年収に比べ、財産がなく貯金額が少ないことから、かなり贅沢で派手な生活をしてきたと、察せら
れる。ところが、これからは、家賃だけ見ても、退職前より、毎月6万5000円持ち出
しとなり、これまでの生活レベルを維持していくには、退職金を切り崩していくか、さもなければ夫婦で共稼ぎしなければならない。どう楽観的に考えても、だれしもが退職後に望む、「これからの老後はのんびりと悠々自適に暮らしていける」ことにはなりそうにもない。
もともと、年収が300万円以下の低水準で暮らしていた家庭ならともかく、ハイクラスの生活レベルを続けてきた家庭では勤労所得がなくなったからと言っても、長年続けてきた生活レベルをそう簡単に落とせるものではない。この人ぐらいの年収があったら、もっと早く自分の家を持つべきだったし、でなければ、家賃分ぐらいの不労所得が入るようなアパート経営など、ライフプランを立てるべきだった。
先に述べたが、自分の住む家を買うことは不動産投資であり、その家に自分が住まなくなっても人に貸し、家賃収入を得ても良い。また自宅を担保に、より資産価値の高い物件に再投資する原資にもなる。
年収1500万円の人が貰った3000万円の退職金は、生活レベルを落とさない限り、2年で枯渇することを考えておかなければならない。
・・・次号に続く
1.急に生活レベルは落とせない!
身近な人の話。
ある日、定年退職を間近に控えた公務員が「退職金3000万円の半額くらいでマンションを探してくれないか」とやってきた。
その人は年収1500万円もありながら、家賃3万5000円の公務員住宅に住んでいた。さぞかし株や債権などの金融資産を貯めこんでいるんだろうと予測されたが、意外にも、主な財産といえば銀行貯金が500万円あるだけだった。
退職したら公務員住宅を出なければならなくなり、自宅の近隣に次の住いを探しにきたわけだが、その公務員住宅は3LDK、その辺りの家賃相場を調べてみると、同程度の賃貸住宅では12万円は下らない。
同じレベルの分譲マンションを、退職金の半分、つまり1500万円で探すのはとても無理な話。
また退職間近であるから、新たに住宅ローンを借りることもできず、散々、1500万円で購入できるマンションを探してみたが、公務員住宅よりレベルは低い。結局、その人の家族は、一旦は近くに家賃12万円の賃貸マンションを探し、そこに住むことになったが、ほんの1年程度で田舎に引っ越してしまった。
この定年退職者の話を持ち出したのは、社宅住まいの危険性を訴えるとともに、人の生活レベルは変えられるかどうかということを考えて頂きたかったからである。
おそらく、この人は生活プランといったものにまったく無頓着な人生を過ごしてきただろうと推測できる。退職して勤労所得がゼロになったのに家賃が3万5000円から一挙に12万円に跳ね上がった。これまでの生活レベルを推し測ると、年収に比べ、財産がなく貯金額が少ないことから、かなり贅沢で派手な生活をしてきたと、察せら
れる。ところが、これからは、家賃だけ見ても、退職前より、毎月6万5000円持ち出
しとなり、これまでの生活レベルを維持していくには、退職金を切り崩していくか、さもなければ夫婦で共稼ぎしなければならない。どう楽観的に考えても、だれしもが退職後に望む、「これからの老後はのんびりと悠々自適に暮らしていける」ことにはなりそうにもない。
もともと、年収が300万円以下の低水準で暮らしていた家庭ならともかく、ハイクラスの生活レベルを続けてきた家庭では勤労所得がなくなったからと言っても、長年続けてきた生活レベルをそう簡単に落とせるものではない。この人ぐらいの年収があったら、もっと早く自分の家を持つべきだったし、でなければ、家賃分ぐらいの不労所得が入るようなアパート経営など、ライフプランを立てるべきだった。
先に述べたが、自分の住む家を買うことは不動産投資であり、その家に自分が住まなくなっても人に貸し、家賃収入を得ても良い。また自宅を担保に、より資産価値の高い物件に再投資する原資にもなる。
年収1500万円の人が貰った3000万円の退職金は、生活レベルを落とさない限り、2年で枯渇することを考えておかなければならない。
・・・次号に続く