2005年02月16日
不動産とお金の話 3
第1章 まず、居住用不動産は、借りるより買うこと!
自宅の次は、資産をつくり、資産に稼がせる
不動産投資の第一歩は「(支払い)家賃内を目安に自分の家を買う」こと、とは前述のとおりである。自分の家を持てば、将来、銀行ローンの借入金を全額返済してしまえば、生活費の多くを占める居住費が大幅に圧縮される。この居住費を圧縮し、支出を減らすことも、不動産投資の一つである。
また、住宅ローンの返済金額には、金利分と元金分があり元金分はそのマンションの価格が下がらないという前提であれば預貯金と一緒である。つまり、その住居が資産となり、将来の原資(担保力)となり、再投資という次のステップへ導いてくれることになる。購入時点では、当然、元金の返済分は僅かであるが、慌てる必要はない。もともと賃料程度のローン返済額なのであるから、家賃と思って支払いつつ、長い目で捉え、預金を増やすとともに、次の物件購入のチャンスを待てばよい。
必ず、ローリスクでハイリターンを見込める投資のチャンスがやってくる。
私のサラリーマン時代は、一定の(給料による)現金預金ができると、買ったマンションを担保にして、投資用のマンションを買いたしてきた。投資リターンを確実にするために、多彩な角度から不動産投資の勉強をし、あわせて不動産コンサルタントとしての実践を重ねてきたことはいうまでもない。不動産投資を意識し始めた段階で、プロの目で物件(事業用含め)を見られるようになっていたと自負している。
ただ、サラリーマン時代には「投資用マンションを買う」というと、銀行はすぐにお金を貸してくれたが、約5年前に独立した途端、手のひらを返したように銀行の融資審査が厳しくなってしまった。つまり不動産コンサルタント業務も不動産業であり、不動産業者の代表者とは、まったく信用がないのである。
考えてみれば、サラリーマンの強さは定期収入や会社の信用力を活用できるところにある。
不思議な話かもしれないが、不動産のプロの私よりも、読者の皆さんのほうが銀行から見た場合、信用力は高いのである。
私個人の資産は、その殆どがサラリーマン時代に購入したものである。独立してからは、東京都内の奥多摩というところに14,000坪の山林を購入したり、よせばよいのに那須の別荘地を購入したり、将来の余暇を過ごせるように長崎の九十九島のうちの島の一部を購入したりと、これらは賃料を生まないので現金で購入した。
また、その他では貸家を二件ほど購入した程度で、さほど資産は増えていない。
しかし過去において賃料相場を的確にとらえ、家賃枠で買える物件を目安に、居住用不動産を中心に買い続けてきた結果、勤労所得がゼロになっても人並み以上に生活できるほど、毎月安定して不労所得が入ってきている。
いわば、現在は、資産が(家賃収入)資産を生んでいる状況にある。
ところで、バブル期に、投資用のワンルームマンションが売れに売れていたが、その多くはキャピタルゲイン(値上がり譲渡益)を狙い、また、節税効果が目的だった事を忘れてはならない。
投資用マンションを買えば、放っておいても値上がりはしたし、おまけに、その経費や減価償却費、そしてローンの支払い金利を合算した所得から経費として落すことができた。
つまり、サラリーマンにしろ事業者にしろ、本業でプラスになって支払った税金が戻ってきたのである。(現在は、建物の分の金利しか損金参入できない)
いずれにしても、運用益、つまり投資リターン(インカムゲイン)を狙ったものではなく、誰がみても不動産投資とはいえなかった。
バブルが弾けた後にこんなことがあった。
ある税理士さんの依頼で、ワンルームマンションを買ってくれないかと言う話がきた。その物件は、新宿・都庁から歩いて1、2分の場所で立地条件はよかったが、私は収益還元価格から逆算し、「家賃は68,000円しかとれないので、800万円なら買う」ことにした。
結局、その金額で取引は成立したが、売主である都内で開業する歯医者さんに、代金決済の際、購入価格を聞いてみると、「このマンションは6,800万円でした。業者に所得税を圧縮できるからと言われて、銀行から借金して同じ物件を三つも買ってしまった。」と、マンション業者に騙されたといった表情で話していた。
無理もない。6,800万円で買ったものが、800万円でしか売れないとなると、6,000万円の損失である。それが三つ(すでに処分)もあるというから、単純に計算すると、計1億8,000万円の大損失を被った事になる。現在、その歯医者さんは、かわいそうに職業柄、破産することもできずに、銀行からの借金1億8,000万円を、事業収入から毎月返済している具合だ。私から言わせれば、この節税効果をねらった不動産投資というのはまったく邪道だ。一番大事な投資に対するリターンを無視し、マンション代は経費で落とせるから、といった安易な節税対策のみに終始した考え方が経済原則の理
に適うはずがない。
また、税金は支払った以上に返ってこないことを知るべきである。
社会・経済状況の変化で物件価格がダウンするのは仕方がないとしても、「家賃(収入)で払えない借金はしない」この不動産投資の基本さえ分かっていれば、このような大ヤケドはしないはずだ。
言うまでもないことだが、投資性を度外視してまで本当に欲しい物件があったら、できるだけ自己資金比率を高めて(借金をできるだけ少なく)購入すべきである。
私のように、たまたま山林がほしいと思ったときは、賃料が入ってこないのであるから、現金を用意して購入するべきである。
4.住宅ローンは団体信用生命保険(団信)付き
私は、住宅ローンとセットになっている「団体信用生命保険」(略称・団信)という、おそらく日本独自の保険には大いに感心し、感謝しながら利用している。
住宅金融公庫などの場合は、この団体信用生命保険の保険料は自ら負担するのであるが、かなり格安であり、一般の金融機関であれば、金利にその保険料が含まれており、加入者自身が支払う必要がない。
私は現在、不動産投資のために、複数の金融機関から4億円以上の借入れしているが、保険と言えば、貯蓄型の3,500万円の生命保険しか掛けていない。
「それじゃ、あなたが死んだら、資産はすべて借金の肩代わりに取られて、奥さんや家族がかわいそう!」という声が聞こえてきそうだが、その心配は御無用。投資した物件は「団信」付きなのだ。
私が死んだら、その保険で投資のために借りた借金(団信付じゃないのを外しても2億円以上)がすべてチャラになり、資産は返済半ばで奥さんや家族のものとなる。
却って、大喜び?ってこともありうる。なにより「団信」のいい所は、借り入れした金融機関へ支払う金利の中から、その保険料(二億円の生命保険の険料なら月々何10万円!?)を負担してくれ、借金した本人は一銭も負担がない。自分が住む家を買うにしても不動産投資物件を買うにしても、この日本独自の仕組みは大きな味方になっている。
この団信を利用しないで、賃貸住宅に住んだまま定年を迎える手はない!
・・・次号に続く
自宅の次は、資産をつくり、資産に稼がせる
不動産投資の第一歩は「(支払い)家賃内を目安に自分の家を買う」こと、とは前述のとおりである。自分の家を持てば、将来、銀行ローンの借入金を全額返済してしまえば、生活費の多くを占める居住費が大幅に圧縮される。この居住費を圧縮し、支出を減らすことも、不動産投資の一つである。
また、住宅ローンの返済金額には、金利分と元金分があり元金分はそのマンションの価格が下がらないという前提であれば預貯金と一緒である。つまり、その住居が資産となり、将来の原資(担保力)となり、再投資という次のステップへ導いてくれることになる。購入時点では、当然、元金の返済分は僅かであるが、慌てる必要はない。もともと賃料程度のローン返済額なのであるから、家賃と思って支払いつつ、長い目で捉え、預金を増やすとともに、次の物件購入のチャンスを待てばよい。
必ず、ローリスクでハイリターンを見込める投資のチャンスがやってくる。
私のサラリーマン時代は、一定の(給料による)現金預金ができると、買ったマンションを担保にして、投資用のマンションを買いたしてきた。投資リターンを確実にするために、多彩な角度から不動産投資の勉強をし、あわせて不動産コンサルタントとしての実践を重ねてきたことはいうまでもない。不動産投資を意識し始めた段階で、プロの目で物件(事業用含め)を見られるようになっていたと自負している。
ただ、サラリーマン時代には「投資用マンションを買う」というと、銀行はすぐにお金を貸してくれたが、約5年前に独立した途端、手のひらを返したように銀行の融資審査が厳しくなってしまった。つまり不動産コンサルタント業務も不動産業であり、不動産業者の代表者とは、まったく信用がないのである。
考えてみれば、サラリーマンの強さは定期収入や会社の信用力を活用できるところにある。
不思議な話かもしれないが、不動産のプロの私よりも、読者の皆さんのほうが銀行から見た場合、信用力は高いのである。
私個人の資産は、その殆どがサラリーマン時代に購入したものである。独立してからは、東京都内の奥多摩というところに14,000坪の山林を購入したり、よせばよいのに那須の別荘地を購入したり、将来の余暇を過ごせるように長崎の九十九島のうちの島の一部を購入したりと、これらは賃料を生まないので現金で購入した。
また、その他では貸家を二件ほど購入した程度で、さほど資産は増えていない。
しかし過去において賃料相場を的確にとらえ、家賃枠で買える物件を目安に、居住用不動産を中心に買い続けてきた結果、勤労所得がゼロになっても人並み以上に生活できるほど、毎月安定して不労所得が入ってきている。
いわば、現在は、資産が(家賃収入)資産を生んでいる状況にある。
ところで、バブル期に、投資用のワンルームマンションが売れに売れていたが、その多くはキャピタルゲイン(値上がり譲渡益)を狙い、また、節税効果が目的だった事を忘れてはならない。
投資用マンションを買えば、放っておいても値上がりはしたし、おまけに、その経費や減価償却費、そしてローンの支払い金利を合算した所得から経費として落すことができた。
つまり、サラリーマンにしろ事業者にしろ、本業でプラスになって支払った税金が戻ってきたのである。(現在は、建物の分の金利しか損金参入できない)
いずれにしても、運用益、つまり投資リターン(インカムゲイン)を狙ったものではなく、誰がみても不動産投資とはいえなかった。
バブルが弾けた後にこんなことがあった。
ある税理士さんの依頼で、ワンルームマンションを買ってくれないかと言う話がきた。その物件は、新宿・都庁から歩いて1、2分の場所で立地条件はよかったが、私は収益還元価格から逆算し、「家賃は68,000円しかとれないので、800万円なら買う」ことにした。
結局、その金額で取引は成立したが、売主である都内で開業する歯医者さんに、代金決済の際、購入価格を聞いてみると、「このマンションは6,800万円でした。業者に所得税を圧縮できるからと言われて、銀行から借金して同じ物件を三つも買ってしまった。」と、マンション業者に騙されたといった表情で話していた。
無理もない。6,800万円で買ったものが、800万円でしか売れないとなると、6,000万円の損失である。それが三つ(すでに処分)もあるというから、単純に計算すると、計1億8,000万円の大損失を被った事になる。現在、その歯医者さんは、かわいそうに職業柄、破産することもできずに、銀行からの借金1億8,000万円を、事業収入から毎月返済している具合だ。私から言わせれば、この節税効果をねらった不動産投資というのはまったく邪道だ。一番大事な投資に対するリターンを無視し、マンション代は経費で落とせるから、といった安易な節税対策のみに終始した考え方が経済原則の理
に適うはずがない。
また、税金は支払った以上に返ってこないことを知るべきである。
社会・経済状況の変化で物件価格がダウンするのは仕方がないとしても、「家賃(収入)で払えない借金はしない」この不動産投資の基本さえ分かっていれば、このような大ヤケドはしないはずだ。
言うまでもないことだが、投資性を度外視してまで本当に欲しい物件があったら、できるだけ自己資金比率を高めて(借金をできるだけ少なく)購入すべきである。
私のように、たまたま山林がほしいと思ったときは、賃料が入ってこないのであるから、現金を用意して購入するべきである。
4.住宅ローンは団体信用生命保険(団信)付き
私は、住宅ローンとセットになっている「団体信用生命保険」(略称・団信)という、おそらく日本独自の保険には大いに感心し、感謝しながら利用している。
住宅金融公庫などの場合は、この団体信用生命保険の保険料は自ら負担するのであるが、かなり格安であり、一般の金融機関であれば、金利にその保険料が含まれており、加入者自身が支払う必要がない。
私は現在、不動産投資のために、複数の金融機関から4億円以上の借入れしているが、保険と言えば、貯蓄型の3,500万円の生命保険しか掛けていない。
「それじゃ、あなたが死んだら、資産はすべて借金の肩代わりに取られて、奥さんや家族がかわいそう!」という声が聞こえてきそうだが、その心配は御無用。投資した物件は「団信」付きなのだ。
私が死んだら、その保険で投資のために借りた借金(団信付じゃないのを外しても2億円以上)がすべてチャラになり、資産は返済半ばで奥さんや家族のものとなる。
却って、大喜び?ってこともありうる。なにより「団信」のいい所は、借り入れした金融機関へ支払う金利の中から、その保険料(二億円の生命保険の険料なら月々何10万円!?)を負担してくれ、借金した本人は一銭も負担がない。自分が住む家を買うにしても不動産投資物件を買うにしても、この日本独自の仕組みは大きな味方になっている。
この団信を利用しないで、賃貸住宅に住んだまま定年を迎える手はない!
・・・次号に続く